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シュミット・ダニエルのプレーに見る、安定感の正体。良いGK=派手なセーブを見せるGKとは限らない

キリンチャレンジカップ2023を戦っているサッカー日本代表。その2戦目として、今夜パナソニックスタジアム吹田でペルー代表と対戦する。各ポジションで競争が活性化するなか、代表の正GK争いも激化していくことが予想される。現時点で一歩リードしていると見られるのがシュミット・ダニエル(シント=トロイデンVV)だ。

シュミット・ダニエル

ウルグアイ戦で見せた堅実なシュートストップ

今回の代表に招集されているGKはシュミット・ダニエル、中村航輔(ポルティモネンセSC)、大迫敬介(サンフレッチェ広島)の3人。シュミットが唯一、昨年のFIFAワールドカップカタール大会のメンバーにも選出されている。 シュミットの最大の持ち味は、ずばりその安定感だろう。197cm88kgと世界でも屈指のサイズを持ち、派手さは無いが堅実なプレーでチームを後方から支える。新体制となって最初の国際Aマッチだった3月のキリンチャレンジカップでも2試合にフル出場。ウルグアイ代表とは1-1、コロンビア代表には1-2で敗れたものの、随所に好プレーを披露した。 安定感のベースとなっているのが、堅実なシュートストップだ。面が大きくリーチも長いのでカバーできる範囲がそもそも広いのだが、その身体的なアドバンテージに加え、シュミットのプレーは一つひとつが実に丁寧且つ繊細だ。大柄なGKにありがちな粗さが無く、再現性の高い技術を発揮することができる。 上述した3月のウルグアイ戦でも、シュミットらしさが出たシュートストップがあった。後半開始直後、ゴール前中央約17~8m(ペナルティエリアの少し外)からマティアス・ベシーノ(ラツィオ)が強烈なミドルシュート。グラウンダーでゴール右隅を襲ったが、シュミットはボールの正面に入って両手で抱え込むようにキャッチ。際どいシュートを簡単そうに止める、シュミットらしいプレーだった。 「結構難しいボールだったんですけど、しっかり脚を運んで正面に入れました。あまり目立たないですけど、キーパーをやっている人なら分かるやつですかね(笑)。良い仕事ができたと思います」 ベシーノのシュートはボールの芯をとらえた強いシュートだった。ゴールまでの到達時間を考えれば、ワンステップダイビングで飛びついて対応してもおかしくない場面。だが本人のコメントにもあるように、シュートの着弾地点に対して「サイドステップで脚を運びながら正面に入れた」のが大きなポイントだった。 シュートの前に細かいステップで立ち位置を微調整し、ゴールの中心とボールを結んだ直線上且つ少し前めのポジションを取る。シュートの瞬間にはその場に止まり、やや前重心で左右どちらにも素早く動き出せるよう、両脚に5:5で体重を乗せる。シュートが放たれた瞬間に着弾地点を割り出し、サイドステップ開始。左に踏み出した一歩目に体重を乗せてダイビングすればより早くシュートコースに到達することができるが、「このシュートにはステップで回り込んでも間に合う」と判断。数歩の滑らかなサイドステップでボールの正面に入ることに成功したのだ。 多くのGKは、おそらくワンステップでのダイビングを選択した可能性が高いだろう。横っ飛びで弾き出せば、そちらの方がパッと見ではビッグセーブにも見える。だが、正面に入ればより確実にシュートを処理することが可能で、キャッチできる確率も大幅に上がる。仮にボールがイレギュラーな動きをしたとしても、身体が正面に入れていることでどこかしらに当たる確率も高くなる。シュミットは瞬時により確率の高いプレーを選択し、実際にキャッチで相手の攻撃を終わらせた。「止めた」という結果はもちろん、内容的に見ても実に理想的なセーブだった。
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日本代表GKレギュラー争いの行方は?
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フリーライターとして雑誌、Webメディアに寄稿。サッカー、フットサル、芸能を中心に執筆する傍ら、MC業もこなす。2020年からABEMA Fリーグ中継(フットサル)の実況も務め、毎シーズン50試合以上を担当。2022年からはJ3·SC相模原のスタジアムMCも務めている。自身もフットサルの現役競技者で、東京都フットサルリーグ1部DREAM futsal parkでゴレイロとしてプレー(@yu_fukuda1129

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