更新日:2022年07月21日 11:59
スポーツ

サッカー日本代表を救うかもしれない、板倉滉の超高精度シュートブロック

 サッカー日本代表CB板倉滉のボルシア・メルヘングラートバッハ(ドイツ・ブンデスリーガ1部)への完全移籍が決定した。板倉は昨季、所属元であったマンチェスター・シティからレンタルで加入していたシャルケ04(ドイツ・ブンデスリーガ2部)でリーグ戦31試合に出場。不動のレギュラーとして優勝、1部復帰に大きく貢献し、その活躍を評価された形となった。

ブラジル代表相手にも躍動

 FIFAワールドカップ2022カタール大会の本番を4ヶ月後に控えたサッカー日本代表においても、板倉の存在感は際立ってきている。6月に行われた親善試合4連戦でも、クラブでの充実振りをそのまま持ち込むかのように躍動。レギュラーポジション奪取に向け、着実に評価を高めた。  なかでも傑出していたのが、6月6日に国立競技場で行われた対ブラジル代表戦だ。FIFAランク1位の王国相手に粘りの守備を披露。ネイマール、ラフィーニャ、リシャルリソンといった世界有数の名手に食らいついてみせた。  特に素晴らしかったのが、最後の局面でのシュートブロックだ。この日、板倉のシュートブロック数はチーム最多の4本。後半18分、ネイマールの見事な胸トラップからの左足ボレーをブロックしたシーンに代表されるように、「板倉が止めてくれなければ」という決定機はいくつもあった。 「強い相手なのでどうしても押し込まれてしまう時間が長くなりましたけど、その中でも最後のところでのシュートブロックなどに関しては集中して対応できたと思います」(板倉)  そして、その板倉のブロックに関して、特筆すべきはその“精度”の高さだ。

GKを助ける高精度ブロック

「DFのシュートブロック」と聞いてどんなイメージを持つだろうか。怖がらずに、とにかくボールに向かって飛び込む。どちらかというと“気持ちのこもった熱いプレー”といった文脈で語られることの方が多いように思う。  だが、プロのレベルともなればこのシュートブロックにも「精度」が存在する。そしてその精度は他の技術・戦術同様、カテゴリーが上がるにつれ精密なものになる。歴代の日本代表DFのなかでも、板倉のシュートブロック技術は一級品だ。  何がそこまで素晴らしいのか。板倉のブロックはとにかく「①ゴールの枠の端から消す」「②穴を作らない」という二点が徹底されているのだ。  分かりやすい例が対ブラジル代表戦の前半41分、日本のエリア内で(攻撃しているブラジル側から見て)右斜め前方に抜け出したネイマールが右45°から右足ダイレクトでシュートを打ってきたシーンだ。マークについた板倉は、切り返しにも対応できるよう適度な距離感を保ちながら中を切って対応。ネイマールが右足を振る瞬間にスライディングでブロックに入り、その横を抜けてニアに飛んだシュートをGK権田修一がセーブした。  サッカーのゴールは横幅7.32m、縦2.44m。いくら手を使えるとはいえ、GKが一人で守るにはあまりにも大きい。となると守備側としては、たとえシュートを打たれてしまうにしても“どれだけコースを限定できていたか”が極めて重要なのだ。  この前半41分のシーンでは、ネイマールがシュートを打つ瞬間に板倉が寄せたことでファー側の5m以上を消し、権田としてはニアの横幅わずか2mほどの範囲を守ればいい状況が作れていた。ファーに飛んできた場合は間違いなく板倉の体に当たるので、権田はあらかじめ通常よりもニア寄りにポジションを取って準備。GKとしては「抜けてくるとしたらニアしかない」と、打たれる前の時点でかなり確度の高い予測ができており、最も守りやすい状況が作れていたのだ。
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少しの立ち位置のズレが失点に繋がる
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フリーライターとして雑誌、Webメディアに寄稿。サッカー、フットサル、芸能を中心に執筆する傍ら、MC業もこなす。2020年からABEMA Fリーグ中継(フットサル)の実況も務め、毎シーズン50試合以上を担当。2022年からはJ3·SC相模原のスタジアムMCも務めている。自身もフットサルの現役競技者で、東京都フットサルリーグ1部DREAM futsal parkでゴレイロとしてプレー(@yu_fukuda1129

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