少女たちにとっては支援団体もスカウトも一緒
――売春前提でJKビジネスに入る女子高生ですが、自分たちを救おうとする「良識ある大人」に対してどのような意識を持っているのでしょうか。ほとんどそういった声は報じられませんが。
「ほっといてほしい。これは、そんな問いに対してある少女が言った言葉です。カラダを売りたい少女らに言わせれば、売春する場所を与えてくれる大人だけが正義で、支援や問題解決を盾に近づいてくる大人は摘発して場を荒らす警察と同じ。支援団体が騒げばJKビジネスの規制に繋がる。そうして少女たちは働き口を失ってきたからです。以前、『NHKスペシャル』で某支援団体が少女を保護する場面が放送されました。支援団体はSNSをパトロールして少女に行き着き、その少女は保護され一時的に支援団体で一夜を過ごしましたが、翌朝には誰にも告げず施設を抜け出しました。つまり少女にとっては、寝床を確保できるなら支援団体でもスカウトでも、はたまたカラダ目的の大人でも、誰でも良かったわけです」
――それがたとえば風俗に斡旋する悪徳スカウトや、裏社会につながる人物でもでしょうか?
「あまり関係ないでしょうね。表向きでも、優しくしてもらうことのほうを大切にしているように感じます。ヤクザや半グレなどとの繋がりは稀。多くはありません。しかし援デリなど闇営業する業者を広義でJKビジネスで捉えるなら多い。それは今も昔も変わりません」
――JKビジネスがなくならない背景で最も問題となるのはどういったことですか。
「開業資金が安く済むこと。売りたい少女が一定数いるので、SNSを使えばそうした少女を簡単に集められること。摘発しても罰金刑などで済むなど厳罰が緩いこと。現状の警察では役不足です。ですから管理者がいない状況とも言えます」
――JKビジネスは今後どうなっていくのでしょうか。
「警察発表によると、‘17年7月から‘18年6月までの1年間に未成年者を補導した件数は約440件に及びました。13歳から18歳の少女たちで、その大多数を現役女子高生が占めています。これはJK条例により、闇営業するアンダー店からも締め出されつつあった少女たちが、店を介さず個人での援助交際に原点回帰したに過ぎません。つまり出会い系サイトなどを使って個人でエンコーしていた時代に逆戻りしたわけです。SNSなどのサイバーパトロールが強化されれば、今度は闇営業するJKビジネス店に流れるでしょう。‘19年はこの傾向が強まると予想できます。法律で縛れば表向きは淘汰される方向に向かうでしょう。しかしアングラ化が進み、今度は闇組織のシノギになります。どちらがいいのか……そのあたりは難しいでしょうね」
【高木瑞穂(たかぎ・みずほ)】
ノンフィクションライター。月刊誌編集長、週刊誌記者を経てフリーに。主に社会・風俗の犯罪事件を取材・執筆。近著に『売春島「最後の桃源郷」渡鹿野島ルポ』(彩図社)ほか。Twitter(
@takagimizuho2)