ブラジルのスラムに10年住んだ日本男性の生き様。会社を辞めて写真家になった理由
「写真は撮りたいものがわかれば、あとは身を捧げるだけ」
ブラジル人の友人を頼り、ファベーラに住むことを決意する。そこで段階を踏みながら関係を築いていった。とはいえ、日本の私たちからすれば、「スラムは危険」というイメージがある。報道でもネガティブなものが多いだろう。実際、伊藤氏はどのように感じたのか。
当初は、ファベーラに鳴り響く銃声やバズーカの閃光などに身をすくめたというが、それは年に数回。伊藤氏は、「普段は穏やかな生活が大半だった」という。だが、そこに暮らす人々を撮ろうとしたが、撮りたくても撮れないジレンマもあった。
「生活には慣れたけど、ファベーラって、やっぱり写真はタブーなんですよね。ギャングの奴らが武装して装甲車に乗っていたり、銃撃戦に出くわしたりもしたけど、写真に収められるわけじゃない。広く浅くじゃなくて、狭く深い写真が撮りたい。
それで、住んだら良い写真が撮れると思ってせっかく言葉も覚えたのに……撮れねえなって、八方ふさがりになることもあって。半年ぐらいなにもしなくて、海辺をジョギングしてハンモックで寝るだけみたいな時期もあった。
お金を稼ぐために、現地コーディネーターをやったり、宿のオヤジもやっていた(ゲストハウスも経営していた)けど、やっぱり、カメラがやりたいなって」
そんなとき、「ブラジルを離れることも勇気」だと思い、これまでの旅を振り返って心を動かされたメキシコの娼婦、キューバのボクサーを撮りに出掛けた。普段は陽の当たることのない人たちに強い生命力を感じたのだ。ただ、“撮っただけ”ではない。
「いまの時代はどの場所の写真だって簡単に見れるから。そこに行って撮るだけでは意味がないと思っている。ギャングだって、写っているだけでは面白くない。やっぱり、光の入り方だったり、構図だったり、フォトジェニックじゃないと強い画として残らない。テクニカルな部分とドキュメンタリー性をどのようにブレンドするか。そのサジ加減がオリジナリティなんだよね」
明治大学商学部卒業後、金融機関を経て、渋谷系ファッション雑誌『men’s egg』編集部員に。その後はフリーランスで様々な雑誌・書籍・ムック本・Webメディアの現場を踏み、現在は紙・Webを問わない“二刀流”の編集記者として活動中。若者カルチャーから社会問題、芸能人などのエンタメ系まで幅広く取材する。趣味はカメラ。X(旧Twitter):@FujiiAtsutoshi
記事一覧へ
記事一覧へ
|
|
『ROMÂNTICO』 「クレイジージャーニー」出演で大反響。 リオのファベーラに10年住み、そこに暮らす人々のリアルな日常を切り取る写真家・伊藤大輔初作品集。ブックデザインはMATCH and Companyの町口景が手がける。
|
【関連キーワードから記事を探す】
庶民はタワマンを買ってはいけない!管理費をめぐる住人格差は深刻
ブラジルのスラムに10年住んだ日本男性の生き様。会社を辞めて写真家になった理由
丸山ゴンザレスが見た「ニューヨークと歌舞伎町の共通点」とは
プノンペンで寸借詐欺をして生き延びた男の末路~日本を棄てた日本人~
経済成長が進むベトナム…それでも娼婦やマリファナが行き交う「ブイビエン通り」の夜
地方議員は正直おいしい? 兼業の写真家・伊藤大輔が語る二足のわらじ生活
ブラジルのスラムに10年住んだ日本男性の生き様。会社を辞めて写真家になった理由
リオ最大の“スラム街”住民が語る「マフィアとの良好な関係」
リオ最大の“スラム街”ホシーニャに住居希望者が殺到!?
この記者は、他にもこんな記事を書いています





