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中国が台湾併合を強行したら沖縄はどうなるか?/佐藤優

アメリカが台湾に関与しなくなった場合

 もっとも中国指導部は現実主義者なので、現時点で中国軍が米軍と武力衝突を起こしても、中国軍が大敗し、壊滅してしまうことをよくわかっています。従って、台湾の武力統一のような冒険はしないと思います。もっとも数十年後、中国の国力が大幅に増強し、米国が衰退し、米中が拮抗するような事態が訪れれば、中国が武力を背景に台湾の併合を試みる可能性はあります。  米国が孤立主義政策に転換し、台湾に関与しなくなった場合、日本にとっては深刻な事態が生じます。台湾には標高3952メートルの玉山(日本の植民地時代はニイタカヤマ)をはじめ、高い山があります。従って、台湾全土を占領するためには、中国大陸側からでなく、反対側の与那国島(沖縄県)の側からも攻撃する必要があります。中国が軍事上の理由から、与那国島の領海に侵入する、場合によっては与那国島を占領する可能性もあります。そうなると日中戦争になります。 沖縄 もっとも、それは沖縄県が日本の一部に留まっていることを前提にします。このような事態が生じる前に、尖閣諸島をめぐり、日中間の軍事的緊張がかなり強まります。沖縄では「日本の都合で戦争に巻き込まれるのは迷惑だ」という機運が強まり、日本からの分離独立運動が起きるでしょう。中国が台湾を併合しようとする場合、日本から見捨てられるような事態に陥る前に、沖縄が日本から逃げ出すと思います。 ★今週の教訓……台湾併合前に沖縄で独立機運が高まる
’60年生まれ。’85年に同志社大学大学院神学研究科を修了し、外務省入省。在英、在ロ大使館に勤務後、本省国際情報局分析第一課で主任分析官として活躍。’02年に背任容疑で逮捕。『国家の罠』『「ズルさ」のすすめ』『人生の極意』など著書多数

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