更新日:2019年03月05日 17:54
エンタメ

マイケル・ジャクソンに性的虐待されたと新証言が。たとえば星野源ならどう見るか?

マイケル信奉者で、かつ人権意識が高い星野源なら…?

 さて、ここ日本にもマイケルへのリスペクトを熱く語るアーティストは少なくない。とりわけ星野源(37)がどう思っているのかが気になる。というのも、星野は社会の出来事について、ことあるごとに、実に見事に政治的に正しい意見を表明してきているからだ。
星野源

星野源は子供の頃からマイケルファンで、「SUN」(2015)はマイケルに捧げる曲だと公言している

 シングル『Family Song』発表時のインタビューでは、両親が同性の家族をも受け入れる多様性の時代であるべきだと語っている。さらに昨年の紅白に関して、男女を赤と白で分けるのではなく、「性別関係なく混合チームでいけばいい」とも発言した(その後、『週刊朝日』2019年1月25日号のコラムで、ミッツ・マングローブ(43)に“優しく”全否定されたのはご愛嬌だが)。  このように高い人権意識を持つ星野ならば、小児への性的虐待をスルーして、「生涯を通して、とても孤独そうな人だったから」(※)などとお茶を濁すことはできまい。  もっとも、西寺郷太氏(45)のように、“全ては濡れぎぬだ”と割り切り、皮膚が白いのも難病だとして、マイケルへの信仰を全うする道も、あるにはある。それが得策かどうかは別として。  それとも、自身の音楽とマイケルをリンクさせるような発言を慎むようになるのだろうか。もちろん、それはそれで尊重すべき判断だ。 ※編集部注:星野源著『そして生活はつづく』より、マイケル・ジャクソン死去を受けてのエッセイ。星野源はTVやラジオでも度々マイケルを熱く語り、『SUN』(2015)はマイケルに捧げる曲だと公言している

人の心を操縦すること

 最後に、近年の映画、音楽界における告発と、マイケルのケースの違いをクリアにしておきたい。それは大人同士のやり取りか、そうでないかという点だ。ハラスメントとは別の恐怖。それを、セーフチャックは「manipulation」(人の心を操縦すること)という単語で表現している。  子供たちに接する際の紳士的な態度と慈愛に満ち溢れた表情、それ自体が「manipulation」と「power」の源だと、セーフチャックは証言しているのである。  その点で、#MeTooムーブメントとは区別すべき問題であることも付記しておきたい。 <文/音楽批評・石黒隆之>
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。Twitter: @TakayukiIshigu4
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