ここまで見てきたように、一口に仏像といっても様々なものがある。 　多くの人が「仏像」と言われて思い浮かべるのは、パンチパーマのような髪型で眉間に点のついた、鎌倉大仏でおなじみの姿ではないだろうか。 　だがそれは、実は悟った者だけができる姿なのだ。仏の世界には、悟りの度合いや役割により、いくつかの位相が存在している。その一番上が完全に悟った「如来」と言われ、おなじみのあの姿をしている。 　今回の展示でも、重要文化財の阿弥陀如来坐像をはじめ、おおくの「如来」が見られる。パンチパーマのような髪型は「螺髪（らほつ）」、眉間の点は「白毫（びゃくごう）」という。この他にも如来には、悟ったものだけに許された三十二相（32の特徴）があるので、それを見つけてみるのも楽しみの1つになるはずだ。 　こうして一体ずつ見ていっても魅力たっぷりの仏像だが、今回の展示そして東寺で誰もがうなるのは「立体曼荼羅」。曼荼羅とは、仏の世界や悟りの境地を表したもので、主に絵画として表されているが、今回はその曼荼羅が、仏像で立体表現されている。 　仏像の「見た目」を中心に説明したが、それぞれの仏像にはそれぞれの物語がある。たとえば前述の帝釈天と阿修羅の戦い、その勝敗と結末は大きな声では言えないほど、驚くべきものになっている…など。 　そうしたことを知って見にいけば何度でも新鮮に楽しむことができるのが仏像なのだ。かつてない規模で開催される今回の展示をきっかけに、たくさんの人が仏像ファンになってくれれば嬉しい。 ＜取材・文/Mr.tsubaking＞ Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大！天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大！天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。