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孤独死した部屋の大半はゴミ屋敷…その独特なニオイとは?

孤独死現場

冬場はトイレや脱衣所での寒暖差でのヒートショック死が多く発生する(画像提供/トータルライフサービス・高橋大輔)

精神が病むと水回りが汚れてくる

 本書に登場する特殊清掃人のひとりは、「ゴミ屋敷の住人は孤独死するケースが圧倒的に多い」と語る。 <体調不良が続いて、ゴミを出しにくくなり、トイレに行くことも億劫になる。>とあるとおり、本書で描かれる孤独死現場の中には、尿の入った何百本ものペットボトルが部屋を覆い尽くすケースも出てきている。件の特殊清掃人は「部屋にはその人のすべてが現れる」としたうえで、以下のように続ける。 <心疾患系に罹った人は、まずリビングから汚れてくる~中略~逆に精神が病みだすと、キッチンとか水回りが汚くなってくる>  単純に汚部屋=孤独死のリスクが高まると言いたいわけではない。が、突然の離職、離婚、死別、大病など、人生には、予測不可能な困難が多々ある。隣近所に気を配らず、地域住民同士のサポートも希薄な現代社会だからこそ、そうした躓きから、ひとりで這い上がることは想像以上に難しいことは、本書に登場する故人の在りし日の人生を読み進めていくことで改めて実感する。孤独死の問題は、決して他人事ではないのだ。〈文/スギナミ〉
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超孤独死社会 特殊清掃の現場をたどる

死ぬ時は、誰もが一人。日本では、孤立状態1000万人、年間孤独死3万人。救済の手立てはあるのか?気鋭のノンフィクションライターが、知られざる最後の“後始末”の実態に迫る。

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