孤独死した部屋の大半はゴミ屋敷…その独特なニオイとは?
誰にも看取られず、一人で亡くなる孤独死者数は年間約3万人。そんな社会現象に付随する形で、急激に需要を増やしているのが、死者の部屋の後始末を行う特殊清掃業者である。孤独死が起きた部屋は、遺体の腐敗状況にもよるが、ひどいケースになると、部屋には無数の蝿、蛆が群がり、ドロドロに溶けた黒い体液と肉片が人型の模様を描いて床に付着。<やや甘ったるい、油のような、臭いのする>その液体は、床下にまで侵食することも珍しくない。
凄まじい臭気が充満する中、黙々と部屋の中のゴミを撤去し、様々な薬品を駆使して臭いを取り去る特殊清掃業者たち。その現場に密着し、孤立化が進む現代日本の問題点を炙り出したのが、ルポライターの菅野久美子氏が上梓した新刊『超孤独死社会 特殊清掃の現場をたどる』(毎日新聞出版)だ。
<孤独死の現場は、遺族ですら立ち会えないほど過酷である。大量の蝿が飛び交い、蛆虫が這いずり回り、肉片が床にこびりついている。故人が苦しみのあまり壁や床をかきむしり、脱糞した形跡があったりもする。>
孤独死の現場について端的にそう書き表したうえで、著者は<そうしたグロテスクな表層は真の問題ではない>ことを、孤独死した故人の、生前の人となりや生活を深く探っていくことで気づいていく。故人の多くが、ゴミを溜め込んだり、必要な食事を摂らなかったり、医療を拒否する“セルフネグレクト”の状態にあること。そしてそれが、1000万人近くいると著者が推計する“孤立化”と切っても切り離せない問題だというのだ。
孤独死の大半がセルフネグレクト
1
2
|
『超孤独死社会 特殊清掃の現場をたどる』 死ぬ時は、誰もが一人。日本では、孤立状態1000万人、年間孤独死3万人。救済の手立てはあるのか?気鋭のノンフィクションライターが、知られざる最後の“後始末”の実態に迫る。 ![]() |
【関連キーワードから記事を探す】
認知症の女性は、同居している夫の死に気づかず…特殊清掃業者が明かす「苦労した現場」
「天井が落下して“走馬灯”が見えた」特殊清掃員が語る、命がけの仕事内容。床に危険な刃物が散乱していることも
特殊清掃業者が明かす、心が折れかけた仕事。倒れるスタッフが続出、現場は“地獄絵図”に
熟年離婚した70代の父が“ゴミ屋敷”で孤独死。「怒りしかない」息子が現実を受け入れるまで
ゴミ屋敷から発見した「230万円で売れた“真っ黒のモノ”」の正体は…ゴミ清掃員芸人が語る「衝撃的なゴミ屋敷」の実態
この記者は、他にもこんな記事を書いています