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非花形部署・56歳のズルい処世術。定年後に備え取引先との癒着にまい進

 少子高齢化が進む昨今、長く働き続けることはもはや必然に。かつての「働き方」がいよいよ微塵も通用しなくなるこれからの時代、60歳以降の人生を確実に乗り切るうえで必要となるものとは一体? 経歴よりも資格よりもずっと重要となる「サラリーマン生活の適切な終え方」ここに考察する——。

会社員人生の終活

日々、取引先との“癒着”強化に邁進

佐藤俊樹さん(仮名・56歳)年収700万円

 自動車部品メーカーに勤務する佐藤俊樹さんは来るべき将来に向けて、着実に準備を進めている。

「簡単に言えば、今の下請け以外はなかなか新規参入できない状態を意図的に構築しています。ある製品を作る際に下請けであるA社とB社と、発注元である自分の会社の3社で完結できる状態にしたうえで、その工程を複雑化。そうすることで、ほかの業者が入ってこれない状況をつくり、“ベッタリ”の関係性を自分主導で用意。A社、B社ともに“おいしい仕事”を振っています。定年後はその論功として、A社に顧問として入社する予定になっています」

 お咎めのない範囲を慎重に見極めながら権限を駆使しているという佐藤さん。できる限りの便宜を図り、“使えるヤツ”として取引先の有力者に認識されることに何よりも力を注いでいるとのこと。

「接待なんかしても受けたほうは恩を感じないので効果が期待できない。結局、信頼してもらうにはやはり安定した取引しかない。A社はワンマンで決裁権者が明確なので、話が通りやすい。いろいろ試行錯誤してきましたが、この会社に懸けてみることにしました」

 自身が取引先に移り、現職から離れてしまえば、これまで通りの取引が続かない可能性も考えられるが、佐藤さんは自信を滲ます。

「ウチの会社はもともと保守的な社風のうえに、現在、私がいるのは“非花形部署”。そんなに優秀な人やモチベーションが高い人はいないし、おそらくこれからも来ない。またイチから取引先を開拓するとなると、それなりの手間も時間もかかるので、誰もやりたがらないはずなんです」

老後 70歳までは是が非でも今と近い水準を稼ぎたいという佐藤さんの地固めはまだ続く。

「仕事のできる人ほど転職時に辞め方を大切にしていますよね。転職してもいい関係性さえ残していれば、何かと助けになるはずなので、今の社内にもたくさんの味方を残せるように動いています」

 密な人間関係の構築こそ、残された会社員人生で全力を傾けるべき最重要課題にほかならない。

【プロの視点】
「古巣と関係性を残したうえで次に移るというのは転職の王道。ただ、この方の場合は、口約束や人間関係に依存しすぎているのが大きなリスクで、決裁権者の気が変わったり、担当者が変更になるだけで計画がご破算になる可能性があるのでリスクをヘッジする必要はあります」(経営コンサルタントの中沢光昭氏)

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