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女の涙で男は萎える

― 世界の[トンデモ研究論文]大集合(2) ―

「なぜだ?」という問いから研究は始まるのだろう。それがスタートだろうとは素人でもわかる。

 だとしたら、「濡れた犬がブルブルと水をはじく振動周期は、ラブラドルレトリバーは4・3ヘルツ。小型犬ほど高速になる」という法則を見つけ出したアメリカ・ジョージア工科大学の研究者のそもそもの疑問はなんだったのだろう? 

 また、マウスに痛みを与え、高解像度カメラで表情を監視。「マウスも人間と同じ痛い顔をする」と、ネズミの苦痛顔の数々を公開したカナダ・マギル大学の教授ら。

 苦しみを覚えると、目が細くなり、鼻や頬が膨らみ、耳の位置、ひげにも変化が生じるそうだが、発表された写真は、どこまでいってもかわいいネズミ。しかし、「動物にも表情はあるに違いない」というその疑問設定の素朴さが、“象牙の塔の住人”をぐっと身近なものにしてくれるのだ。

 そう、一般の人にとって研究者は遠い存在。だからこそ、ときおりニュースになる、真面目なのに、身近で下世話な研究論文が話題となるわけで。

 例えば、少し前にネットでも騒がれたスウェーデン・ランド大学の腫瘍学者による「コーヒーを一日に3杯以上飲むとおっぱいが小さくなる」といったものや、今年4月にニュースになった、「イケメンは薬指が長い」という研究論文。思わず、自分の手を確認したなんて人は多いだろう。薬指の長い人は、胎児のとき子宮内で男性ホルモンのひとつ、テストステロンを浴びていて、それが影響しているとか。イギリス・ケンブリッジ大学の博士も「薬指に対し人さし指の比率が小さければ小さいほど収入が大きい」という論文を発表している。

◆女の涙で男は萎える

 おもしろいのは、このテストステロン。性的興奮にもかかわっているようで、イスラエル・ワイツマン科学研究所の科学者は、男性に女性の涙と無臭の食塩水をかがせ、その後に女性の顔写真を見せるという実験を実施。その結果、涙の匂いを嗅いだ男性は、女性の写真に魅力を感じる傾向は小さく、同時にテストステロンが激減。「女の涙は男性の性的興奮を萎えさせる」という結果を発表している。涙は女の武器、というが、必ずしもそうではないことが科学的に立証された、わけだ。

 また、言い訳にも使えそうなのが、「うっかりは脳の昼寝」という、アメリカ・ウィスコンシン大学マディソン校の研究チームによる睡眠不足のマウスを使った実験。寝不足のマウスを観察し、20の神経細胞を分析。2つの神経細胞から睡眠のサインが出ていて、エサをとりにいかせるといつもより多くミスをしたというのだ。つい約束をすっぽかしたり、ついつい大事な案件を忘れるのは脳のシエスタなのだから、仕方がないのだ。たぶん。


取材・文/田山奈津子 古澤誠一郎(オフィス・チタン)牧 沙織 鈴木靖子(本誌)
イラスト/坂川りえ

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