雑学

「なんの役に立つのか」なんて問いは無意味な研究論文

― 世界の[トンデモ研究論文]大集合(6) ―

◆おもしろ研究論文の“通”の味わい方

科学ライター・久我羅内氏
 イグ・ノーベル賞を愛する科学ライター。著書に『めざせイグ・ノーベル賞傾向と対策』(阪急コミュニケーションズ)、『不可思議現象の科学』(サイエンス・アイ新書)など。久我勝利名義の著書に『知の分類史』(中公新書ラクレ)など


 おもしろ論文をより楽しむために、心がけるべきことは何か。“人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究”に与えられる「イグ・ノーベル賞」にも詳しい、科学ライターの久我羅内氏に話を聞いた。

「こうした研究論文の楽しみ方って、3段階あると思います。まずは、おもしろ論文をまとめた本を読み“知る楽しみ”を味わうこと。その次は、誰も知らない論文を、自力で探してみることです」

 そして最後は「自分で研究して、論文を書いてみること」だという。

「『人にどう思われるか』なんて気にしないこと。イグ・ノーベル賞を受賞した研究も『バッタがスター・ウォーズを見たらどうなるか』『黒板を引っかく音が不快な理由』というような素朴な疑問から始まったものですし、テーマは何でもいいんですよ。まずは簡単アンケートでもいい。私自身、『書店でトイレに行きたくなるのはどうしてか』を調べたいと思っています。本のインクの匂いが大脳を刺激するなど諸説ありますが……、個人的には人の知的興奮が何かしら内臓を刺激するのではないかという仮説を立てていて、それを実証したいんです」

 自分で研究するにしても大事なのは、好奇心だと氏は強調する。

「イグ・ノーベル賞受賞の研究もそうですが、『なんの役に立つのか?』などと考えちゃダメなんです。人はすぐに“ご利益”を求める。でも、宇宙開発でもなんでも、最初にあるのはただの好奇心じゃないですか。『なんの意味があるの?』なんて問うのは、『あなたの人生の意味は?』と問うのと同じ。無意味なんですよ。子供の頃の、『なんで?』という素直な疑問、『知りたい!』という純粋な気持ちがあるからこそ、おもしろい研究は生まれる。この姿勢は『人ってなんだろう』『生きているってなんだろう』という根源的な疑問に繋がっていくと思うんです」

※日刊SPA!では久我羅内氏オススメ論文を公開



【関連書籍】
めざせイグ・ノーベル賞 傾向と対策
「世間を笑わせ、考えさせた」人に与えられる、それがイグ・ノーベル賞。



取材・文/田山奈津子 古澤誠一郎(オフィス・チタン)牧 沙織 鈴木靖子(本誌)
撮影/山形健司 イラスト/坂川りえ

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