更新日:2023年03月20日 11:30
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映画『キングダム』は “マンガ実写化でガッカリ”の壁を超えたか?



戦争シーンの描写が続編のカギ

 さて。こうなると気になるのは続編。『キングダム』は端的に言えば主人公・信の立身出世が物語の主軸ではあるけれど、それを盛り上げるのが戦場と軍略の緻密な描写と解説だ。  同じ中国古典の名作といえば、横山光輝氏の作品が有名。だが、伏兵がワーッと鬨の声をあげて登場するだけで敵が壊滅し、長物を振り回すだけで矢を叩き落とす、氏の『三国志』と『水滸伝』の世界観が、後に出た『蒼天航路』や北方謙三の『水滸伝』シリーズで、圧倒的な臨場感と生々しさをもって数十倍にスケールを広げたのと同様、『キングダム』の面白さを支えているのは、綿密に計算された戦争シーンであることは論を待たない。そうなると、続編に期待するのは、当然、「大軍同士の戦をいかに描写できるか?」にかかっている。  実際、王都奪回編以降も、いくつかの個人戦はあるが、戦いの舞台はこれから戦場へと移っていく。映画の次の舞台は、原作では信の初陣となる。行軍中、同じく初めて戦場に臨む仲間のひとりが「これだけの人数が殺し合いをしたらどんな光景になるんだろう」と口にするが、その恐怖と緊張感をどう再現するのだろうか。天の災い・龐煖(ほうけん)、廉頗(れんぱ)と廉頗四天王、そして名将・李牧(りぼく)らライバルたちとの戦いはどう描かれるのか――興味と想像は尽きぬまま、続編を待ちたいと思う。〈文・スギナミ〉
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