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五月病でボロボロの新人OLを救った「父の言葉」が深くて泣ける

 悪いことに母親は兄妹を比べ、それを口に出すタイプ。綾さんは不出来な子扱いされるのが当たり前になり、兄たちからも見下されていた。 「どこにいても人気者の彼らに、鈍臭い私は年中バカにされていました。母も別に庇ってくれず。結構、家にいるのが苦痛でしたね」 落ちこぼれ ところが、長兄が大学に合格した時のこと。自慢ついでに綾さんをからかう彼に対し父親が動いた。 「自分に誇りを持つのは構わない。だが、人を下げる奴は立派な人間じゃない。もう大学生になるんだからわきまえろ! みたいに叱責したんです。今までになく強い口調でしたから、兄は顔面蒼白。母も驚いていました」  以降、少なくとも家で綾さんがバカにされることはなくなった。 「最近になって兄から聞いたのですが、直後に母が父に怒られたそうです。そろそろちゃんと子どもたちを教育しなきゃいけない。綾への態度が目に余ると」  その甲斐あって母と兄たちが成長したのか、どんどん彼女の家庭内ストレスは軽くなっていった。 「思えば、昔から父がいる場では理不尽な思いをしなかったんです。あまり家にいない人だったので、実感しにくかったのかもしれません」  国立にこそ受からなかったが、十分に胸を張れる大学へ進んだ彼女。妙なコンプレックスに苛まれることもほぼ無くなっていた。 「国立不合格は流石に兄と母に突っ込まれると思っていましたが、みな普通に祝福してくれました」  そして、就職――。
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アルバイト経験さえなく、仕事でミスを連発
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