利回り60%超えも可能。「ドミトリー投資」の魅力と注意点
「働き方改革」に伴い、政府も副業を後押しする昨今。スキマ時間に手軽にできるものから、まとまった元手や時間を要するものまで、その内容は多種多様だが、果たしてその明暗を分かつものは何なのか?
『サラリーマン副業2.0』などの著書を持つ、副業アカデミー代表の小林昌裕氏。これまでに実践してきた20余りの副業の中で、かつて会社員だった小林氏が最初に始めた副業が不動産投資だ。
「区分マンション3部屋から始まり、新築の横須賀のアパートを買ったり、北関東で中古物件を3棟買ったり、物件は今も70戸近く持っています。家賃年収は約3000万円で、月120万円ほどが手元に残ります。大家としては、“メガ大家”ではないけど、決して小さいわけでもないというレベル感でしょうか」
アパートやマンションなど物件を買って家賃収入を得る、あるいは購入時から価値が上がった物件を売却して、その差額で利益を得る。それが一般的な不動産投資のイメージだが、小林氏は新たな不動産投資の手法として、転貸・又貸しによる「ドミトリー経営」を実践する。
「1年半ほど前から、中央線の駅に隣接した雑居ビルの3フロアを月22万円でオーナーから借り、23人が寝泊まりできるドミトリーを運営しています。寝室に2段ベッドを置き、リビングやシャワー、トイレ、洗濯機なども共用。入居者の家賃は水道、光熱費、インターネット代込みで3万円代と、同エリアのワンルームの相場の半分ほどです」
住環境としてはプライベート空間がない分、いわゆるシェアハウスより落ちるが、その代わり最寄駅までは徒歩1分以内。新宿までのアクセスもかなりいい。
「格安で好立地に住めて、ついでに友達もできるという感じで一定の需要があります。満室だと月90万円弱が月の売上ですが、差益が大きくてオーナーへの家賃22万円を引くと、60万円以上がプラス。そこから管理会社への外注費30%と水道や光熱費、インターネット代で15万円を差し引いて、だいたい月25万円が手元に残ります」
一般的な不動産投資とは異なり、所有権を買わないので固定資産税はかからない。しかも、普通のアパートやマンションの部屋は住人が退去する度に10万~15万円かけてリフォームする必要があるが、ドミトリーではそうした費用もほぼ不要だという。
「初期費用は15人規模のドミトリーで300万~350万円、20人以上なら400万~500万円と、個人投資家にはなかなか大きい額が必要です。ただ、自己資金でこれくらいまとまった予算をとれる投資家には結構いい投資かと思います。不動産投資は年間の利回りが10%も出ないのが普通ですが、このドミトリーは満室だと表面利回りで60%くらい。月20万~25万円のプラスが続けば2年で回収できる計算です」
小林氏のドミトリーの初期費用は約500万円で、敷金と礼金、仲介手数料から家具、家電を揃えて設置する費用、サイトで入居者の募集をかけるまでの諸々が450万円。さらに入居者が埋まり始め、赤字が完全になくなるまで2か月半のオーナーへの家賃などがその内訳だ。
賃貸ベースで投資額を2年で回収できる可能性も?
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1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催。X(旧Twitter):@tsuitachiii
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