ニュース

中国妊婦「越境出産」に香港人が大激怒!

 香港紙『アップルデイリー』(2月1日付)に「香港人は忍耐の限界」という文言が躍る意見広告が掲載された。何事かといえば、大陸から香港に越境して出産する中国人妊婦に対してだ。広告主は、中国からの越境出産の増加に不満を持つ香港市民ら。掲載料は、フェイスブック上での呼びかけによって集められたという。

 香港政府の統計によると、’10年に香港で生まれた新生児は約9万人。うち4万人以上の母親は、中国本土からの越境妊婦だった。彼女たちが香港で出産する目的は、「生地主義」を採用する香港で出生した子供に与えられる香港の市民権だ。中国より平均所得の高い香港の市民権はそれだけで魅力的。加えて、医療費や教育費など社会保障も充実しており、手厚い補助が受けられるのだ。同広告には「18分ごとに980万円の税金が、大陸中国人を両親に持つ子供の養育費として投じられている」とある。さらに広告に描かれたイナゴの絵は、未納税者が越境して香港市民の財産を毟り取る行為を表しているという。

『星島日報』(1月17日付)も、香港の産婦人科の分娩台が、大陸からの越境妊婦に独占され、香港人妊婦は出産予約が取りづらい状況だと報じている。同紙によれば、出産寸前に越境し、そのまま救急病院に駆け込む妊婦も続出しているらしい。特に縁起がいいとされる辰年の今年、中国ではベビーブームが予想されており、越境妊婦はさらに増える可能性があるという。

 深セン市在住の留学生・岡本宏大さん(仮名・25歳)も、越境妊婦をたびたび目撃している。

「深セン市から香港に入境するためのチェックポイントには、臨月の妊婦がよく並んでいます。一度、ボーダーの真ん中の通路で、破水してうずくまっている妊婦がいました。あそこで生まれたらどっちの市民権になるのかな(笑)」

 しかし、香港人に目の敵にされながらも、母子ともに命がけの越境出産に踏み切るのは、市民権の獲得だけが理由ではない。昨年、中国人妻が香港で出産したばかりという広州市の日系工場勤務・長田幸弘さん(仮名・31歳)は言う。

「近年の一人っ子政策の緩和で、中国国内ではまともな産婦人科のベッドは慢性的に不足し、ワイロ合戦で獲得するしかない状況。医者や助産師への付け届けもマストで、合計すると香港で産んだほうが安い。庶民向けの公立病院や闇病院もありますが、理髪店レベルの設備で、分娩台もカーテン一枚で隔てたようなありさまです」

 そんな彼女たちの事情を知ってか知らずか、香港の街頭では2月も毎週末、街頭デモが行われるほど“反越境妊婦”の機運は高まっている。こうした香港人の心情について、中国在住のフリーライター・吉井透氏はこう語る。

「越境出産に対する反感が高まっている背景には、税金のフリーライドや分娩台の不足という現実的な問題もありますが、大陸中国人を見下してきた香港人の中にある『同じ分娩台を共有したくない』という差別意識もある。中国人が経済的にも自分たちの子息と同じ環境で誕生できるようになったことに、焦燥感もあるでしょう」

 香港人といえど国籍は中国。“同じ穴のイナゴ”であることを認識すべきかもしれない!?

◆各都市版「忍耐の限界」

意見広告「香港人は忍耐の限界」を受け、ネット上には中国各都市版のさまざまなパロディが登場している。その一部を紹介!

北京人は……増加し続ける外来人口(他省からの流入者)にガマンの限界。これ以上、“移住”を阻止するよう政府に強烈要求!

アモイ人は……全国からのマナーのない観光客の襲来にガマンの限界。彼らの上陸を制限するよう政府に熱烈要求する!

天津人は……外地出身の官僚に、出世のために市内に無駄な建築物を建て続けられることに地元っ子はガマンの限界!

広州人は……高速鉄道建設やアジア大会、役人の公費での飲食など、我々の税金が無駄遣いされることにガマンの限界!

重慶人は……火鍋に、再利用した油を用いることを禁止した当局にガマンの限界! 使い回しの油のほうが火鍋はうまいんだ!

週刊SPA!連載 【中華人民毒報】
行くのはコワいけど覗き見したい――驚愕情報を現地から即出し <取材・文/奥窪優木>

中華バカ事件簿

激動の現代中国社会をイッキに覗き見!中国実話120選




おすすめ記事