更新日:2023年03月21日 16:12
仕事

平成生まれは固定電話が取れない? コンビニ店長が驚愕した新入社員事件簿

ミスしたのは誰だ? 「店長です」

 コンビニにおいて廃棄問題は深刻である。機会ロスは絶対起こすな、だから品切れはするな、だけど余計な廃棄は出すな。  ……まさにチキンレースである。その年の5月、あまりにも廃棄の多かった当店は、ついに直属の上司から「廃棄予算を越えたら全員反省文を書け」と言われてしまった。  とはいえ、本社直下の直営店であった当店はビビッた発注をすると怒られる。とあるおにぎりを「売れないから」と置いてないと、そのおにぎりを作ったバイヤーが私のところへ来て「俺の作ったおにぎりが置いてないのはなぜだ」と憤慨する。  さらに、最近売れてないからと弁当の在庫数量を減らしたタイミングでは、突然本社で全国の部長が集まる会議が開催され、会議前の腹ごしらえのために本社下にある当店へ来店した部長たちが「俺が食べたかった今週発売のあの弁当が置いていないのはなぜだ」と言う。そして上司にクレームがいき、やっぱり私が怒られる。  そのため、平日は常に多めに発注を入れ、その分土日の発注数を減らすことで月ごとのバランスを取っていた。しかし、ある土曜日の午後、私がのんびり出勤すると店内に颯爽と上司が登場した。  やばい! このスカスカな売り場を見られたら上司に怒られる! つーか、なんで土曜に店に来るんだよ! と混乱した私がたくさんの「言い訳」を用意して上司の背後から近づこうとした、そのとき。上司は弁当売り場にいた新入社員の寺本くん(仮名)に話しかけた。 「今日のお弁当とおにぎりの発注をしたのは誰だ、答えろ」 上司 すると寺本くんは満面の笑みで答えた。 「店長です!」  終わった……。私を見つけ、ものすごい勢いでこちらに向かって近づいてくる上司。寺本さんよ、そこは空気を読んで「いやー、今日の発注? 誰っすかね? 妖精さんかな? きゃは」とかテキトーに答えてほしかった。  しかしそんなことを指導するわけにもいかず、素直に私は怒られたのだった。  そんな穢れなき心を持っていた新入社員たちも、数年たった現在ではオーナーを指導するスーパーバイザーとなって全国で活躍している。私のようにごまかそうとする心はまだ持っていない、ことを願う。<文/松本果歩> 【松本果歩】 フリーランスライター。コンビニを愛しすぎるあまり、OLから某コンビニ本部員となり、店長を務めた経験あり。Twitter:@KA_HO_MA ― シリーズ・モンスター新入社員録 ―
インタビュー・食レポ・レビュー記事・イベントレポートなどジャンルを問わず活動するフリーランスライター。コンビニを愛しすぎるあまり、OLから某コンビニ本部員となり店長を務めた経験あり。X(旧Twitter):@KA_HO_MA
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