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就職ではじめて実家を離れたら…。2ヶ月で退職した新入社員

 医学的には帰巣中毒(Homing Dependence)と呼ばれているホームシック。「いい大人が恥ずかしい」とバカにする人もいるが、社会人でも就職や転勤、単身赴任を機に発症する人は少なくない。

就職ではじめて実家を離れたら……


モンスター新入社員

写真はイメージです(以下同じ)

 現在、生まれ故郷にあるビジネスホテルで働く飯島勇人さん(仮名・32歳)も、専門学校を卒業した20歳のときにホームシックにかかってしまった経験を持つ。それが原因で就職したばかりのホテルをわずか2か月で辞めてしまったそうだ。

「それまで実家暮らしで、親元を離れたのはこれが初めてでした。観光客向けの大型ホテルをいくつも持っている会社で、私の勤務先は地元から遠く離れた山奥にある温泉ホテル。最初はヤル気に満ち溢れていましたが、1週間が過ぎるころにはさびしくなってしまい、地元に帰りたいと強く願うようになっていました」

 運が悪いことにその年、同じホテルに配属された新入社員は彼以外はすべて女性。社員寮には個室が用意されていたが、仕事以外でも先輩社員に囲まれている状況で気が休まらず、食事や入浴時以外はほとんど部屋に引きこもっていた。

「専門学校時代から付き合っていた彼女にメールばっか打っていましたね。本当は電話して声が聞きたかったけど、電波状況があまり良くなかったので。彼女はいつも自分のことを励ましてくれたけど、逆に会いたい気持ちがますます大きくなっちゃってそれが辛かったですね」

 就職した年、GW中はホテルも繁忙期なので連日仕事だったが、連休明けの週末に2日間の休みが取れ、地元に帰省する予定だった。当然、目的には彼女に会うためだ。

仕事を辞めて地元に戻るも周りは冷ややかな反応


 しかし、体調不良で欠勤するスタッフが出たため、ホテルから急きょ出るように頼まれ、帰省がキャンセルになってしまう。就職以来、これを楽しみにホームシックに耐えていた飯島さんだったが、我慢はもはや限界だった。

「その1週間後に辞表を出し、5月の末に地元へ戻ってきました。慣れない環境とホームシックのせいで体重は入社から2か月で7㎏近く減っていました。もともと痩せ型でしたけど、見るからにげっそりしていたようで上司からも強くは引き留められませんでした」

モンスター新入社員 その後、地元に戻ったことでホームシックは解消されたが、周囲の反応は冷ややかなものだった。両親からは「情けない」と言われ、特に父親は実家に住むことを許そうとはしなかった。

「昔の人だったのですぐに会社を辞めて出戻ってきたことが許せなかったんです。『1か月だけ猶予をやるからそれまでに出ていけ』と言われました。車で1時間ほどの場所に社員寮完備、即入居可の家電部品の工場に契約社員ですが採用され、結局半月ほどで再び実家を出ることになりました。でも、そこならその気になれば毎日でも彼女に会える距離。正社員でなくても不満はありませんでした」

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辞め癖がついてしまった

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