エンタメ

『ひよっこ』の脚本家・岡田惠和が語る、50歳からの仕事観

 NHK連続テレビ小説『ちゅらさん』『おひさま』『ひよっこ』、映画『いま、会いにゆきます』『雪の華』など、多くの人気作品を生み出してきた脚本家の岡田惠和氏。現在、『奇跡の人』『ひよっこ』で組んだ峯田和伸が属するロックバンド銀杏BOYZの曲から着想を得て書き降ろした小説を映画化した『いちごの唄』が公開中だ。
いちごの唄

(C) 2019「いちごの唄」製作委員会

 古舘佑太郎が主演し、石橋静河がヒロインを務める本作。かつて秘かに天の川の女神と呼んでいた憧れの同級生と、親友の命日でもある七夕の日に東京で再会した主人公のコウタは、毎年七夕の日の再会を誓って、1年に1度だけ彼女と会うようになる。  今年60歳となり、脚本家デビュー30年を迎えた岡田氏に、本作のことに加えて、「勧善懲悪のほうがある種のファンタジー」と語る物事への見方や、「ベテランになることを拒絶する生き方を選んだ」という仕事観を聞いた。

「みんな同じように正しくて、みんな同じように間違っている」

――これまでに原作ありの作品もオリジナルも手掛けられていますが、今回、ご自身で先に小説を書き、それを映画用に脚色するという作業はまた別の難しさがありましたか? 岡田惠和(以下、岡田):極端に難しかったです。小説を書くときに、もちろん後に映画になるという話はしていましたが、それを想定して書いてしまうと、脚本家である自分が、わざわざ小説という別の表現方法を取る意味がない。なので、脚本っぽい小説は書きたくないと思っていました。小説では基本、1人称でコウタの心の声をひたすら文字にしていきました。  脚本が表に出るセリフと動きを描くものだとすると、真逆の表現方法なので、挑戦する意味はありましたが、逆にそれを脚本にする作業は、むちゃくちゃ難しかったです(笑)。 ――岡田さんの作品は、日常のなかにもファンタジーやロマンチックさを感じさせるものが多いです。今回も七夕が絡んできます。そうした部分には、岡田さんの人生観や物の見方が反映されているのでしょうか? 岡田:僕自身というよりは、世界がこうであったらいいのになという思いは反映されているかもしれません。 いちごの唄――悪人があまり出てこないのも、そうした世界であったらいいなというところから来ているのでしょうか。 岡田:それもあるし、そもそも普通に暮らしていて、悪人ってそんなにいないと思いますけど。自分にとって邪魔な人や嫌いな人というのはいるかもしれないけど、悪人と呼べるような人は僕の周りにはいませんよ。僕からすれば、僕が書いているもののほうがリアルだと思っています。みんな同じように正しくて、みんな同じように間違っている。  全員が正しいからこそ、逆にうまくいかなくなるのであって、勧善懲悪のほうがある種のファンタジー。そこでスカッとするんでしょうけど、自分のなかではそれは気持ちが悪い。別の角度から見れば見え方は違ってくるだろうし、白黒しているような考え方が基本、あまり好きじゃないんだと思います。
次のページ 
デビューから30年、全く飽きていない
1
2
3
『いちごの唄』は7月5日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開中
オフィシャルサイトhttp://ichigonouta.com/
Cxenseレコメンドウィジェット
ハッシュタグ
おすすめ記事