更新日:2023年03月28日 09:51
エンタメ

『ひよっこ』の脚本家・岡田惠和が語る、50歳からの仕事観

デビューから30年、全く飽きていない

――キャラクターを配置していく上では、ドラマチックなほうが作りやすそうな気もしますが。 岡田:興味ないんですよ。逆にいうと、悪人ということだけじゃなく、ヒーローにもあまり興味がない。立派なことをする人の話というのは、自分がやらなくても誰かが書いていますし。そこは自分の役割だとは思っていないです。
岡田惠和

岡田惠和監督

――脚本というのは小説とは違って、規制もあるかと思います。朝ドラなら1日15分を月から土で半年間とか。そうした条件は、物語を作って行く上で枷ですか? 岡田:僕はもともとテレビ屋だし、職業ライターなので、なんらかの制約があったほうがいいです。制約とか条件とかルールとか。その条件のなかで何がベストかを考えていくことが性に合っている。いわゆる商業主義的なことも嫌いじゃないし、芸能界的なことも全然嫌じゃない。むしろ条件なんかは楽しんでいます。 ――職業ライターという言葉が出ましたが、脚本家デビューから30年、同じ仕事を持続させていくモチベーションはどこにありますか? 岡田:全然飽きてないんです。それに僕はむっちゃブレイクとかしてないので(笑)。例えば平成を振り返る番組でドラマ視聴率ベスト30とかそういうのにも入ってこない。そういう意味でも、自分に追いかけられていないのもいいのかなと思います。

ベテランになることを拒絶する生き方を選んだ

――これは自分の脚本家人生のなかで大きな作品だった、意識が変わったといった作品や時期はありますか? 岡田:今僕は60歳ですけど、50歳を過ぎてから、たとえばベテラン作家として、作品を絞って寡作な方向へ行くべきなのかとよぎった時期もありました。でも逆に行こうと思ったんです。多作で、しかも今までだったらあまり受けなかった仕事でも基本やってみようというスタンスに変えました。 ――岡田さんの作品は若々しいものが多いですが、やってこなかった仕事というと、『最後から二番目の恋』なんかは大人のドラマですね。 岡田:そうですね。それも50歳を過ぎてからですね。大人の恋愛と言われると、断ったりしていたのですが、ちょっとやってみようかなと。きっかけはWOWOWさんで『尾根のかなたに』というドキュメントを原作とした日航機墜落事故の家族のドラマをやったことです。そうしたジャンルの作品も以前はやらなかったんですけど、やってみようかなと。だからなるべくベテランになることを拒絶する生き方を選びました。  そこからは『ど根性ガエル』とか。55歳がやる仕事じゃないかもしれないですけど(笑)、今も『セミオトコ』という変わった作品をやっています。
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ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画周辺のインタビュー取材を軸に、テレビドラマや芝居など、エンタメ系の記事を雑誌やWEBに執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異。X(旧Twitter):@mochi_fumi

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