平均51歳で発症する若年性認知症「会議を忘れてた」が兆候かも
認知症は、高齢でも若年性でもほぼ同様の症状が表れる。少しでも気がかりな人は、チェックポイントを参照してほしい。
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1.無気力
仕事、プライベートに関係なく、何事もわずらわしく感じてしまい、意欲が湧かない
2.失語
聴覚や発声に異常はないのに、言葉を話す、聞く、読む、書くことができなくなる
3.記憶障害
物のしまい忘れ・置き忘れが増え、よく探し物をする。待ち合わせの約束を忘れる
4.見当識障害
「今がいつか」(時間)や「ここがどこか」(場所)の判断がうまくつかなくなる
5.実行機能障害
食事の準備ができない、電化製品の使い方がわからなくなるなど、順序立てて物事を行うことが困難
6.失行
ボタンを掛ける、ズボンを下ろすなど、運動機能が正常なのに簡単な日常動作ができなくなる
7.失認
目や耳に異常はないが、水の入ったコップを逆さに持ち上げたり、意味ある対象として認識できない
8.反社会的行動
経済的に困窮していないのに万引を繰り返す。ほか、暴力や痴漢など反社会的行動が目立ち始める
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加えて、高齢者の認知症は女性に多いのに対し、若年性認知症は、男性に多いのが特徴だという。
「というのも、高齢者の認知症の原因となる疾患で最も多いのは大脳全体が萎縮して、主に物忘れが起こりやすいアルツハイマー病。一方、若年性認知症は、脳血管性認知症が最も多く、全体の約40%を占めます。これは脳梗塞や、くも膜下出血の後遺症として表れる認知症なので、男性に多く見られるのです」
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<若年性認知症のタイプ>
・脳血管性認知症 39.8%
・アルツハイマー病 25.4%
・頭部外傷後遺症 7.7%
・前頭側頭葉変性症 3.7%
・アルコール性認知症 3.5%
・レビー小体型認知症 3.0%
・その他 17.0%
<年齢階層別若年性認知症有病率>
年齢/人口10万人当たり有病率(人)男/女/総数/推定患者数(万人)
18-19/1.6/0.0/0.8/0.002
20-24/7.8/2.2/5.1/0.037
25-29/8.3/3.1/5.8/0.045
30-34/9.2/2.5/5.9/0.055
35-39/11.3/6.5/8.9/0.084
40-44/18.5/11.2/14.8/0.122
45-49/33.6/20.6/27.1/0.209
50-54/68.1/34.9/51.7/0.416
55-59/144.5/85.2/115.1/1.201
60-64/222.1/155.2/189.3/1.604
18-64/57.8/36.7/47.6/3.775
※ともに厚生労働省’09年3月発表
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仮に働き盛りの40~50代の男性が、若年性認知症にかかってしまえば、そう簡単に仕事を続けられない現実が待ち構えている。
’14年、認知症介護研究・研修大府センターの調査によると、18歳から64歳の就労経験のある若年性認知症患者1411人のうち、自ら退職したのは66.1%、解雇されたのは7.7%。休職を含めると全体で78.3%が失職。仕事を続けている人はわずか5%にとどまっている。朝田氏も実態を次のように語る。
「これまで一家の生計を支えていた大黒柱が働けなくなると、経済的に困窮する可能性があります。奥さんが専業主婦だった場合、働きに出ざるをえないし、そこに高齢の親の介護、自分の子供の養育、そして認知症の配偶者の介護が重なると、負担は非常に重いです。やがて病気の状況が悪化し、一家離散という結末を迎えてしまうケースもあります」
早期発見のためのチェックポイント
若年性認知症の8割が仕事を失っている現実
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