更新日:2019年07月29日 23:09
ライフ

中年になった元ヤンキーの今「地元じゃないと働けないわけ」

勉強組、スポーツ組と俺らは別の人種……

 地元に根づくワルたちには、都心部には目に見えない壁があり、それより先はテリトリー=縄張りの範囲外と認識するらしい。これはヤンキーの持つ全国的な傾向という。 「松戸もそうだけど、こういう街は2種類の人間が住んでる。一つは都心で働いている人が、子供が生まれるんで郊外に引っ越してくる。こいつらは俺らと人種が違うんだよ。基本、松戸が嫌い。塾やスポーツクラブに入ったりして、早ければ中学で私立に行く。ほとんどが東京の大学とかに入って、そのまま都心で就職して地元には戻ってこない。端から地元とは思っていないんだよ」  郊外都市には、もうひとつ、都心でやっていけず、比較的家賃の安い郊外の公団や団地などに移ってくる低所得者も少なくない。その子供たちが都心で働く親を持つ「勉強組」「スポーツ組」に反発するかのようにヤンキー化していく傾向が強いという。 「俺で言えば、中学ん時に先輩からバイクを安く売ってもらって、それで暴走族に入った。学校なんて行かなくなるし、バイクの改造とかもあるんでバイトもしなくちゃいけない。これも先輩の口利きで仕事を紹介してもらえる。だいたいは建築業だな。地元で名前が売れていると、『おお、杉原ってお前か』と、優先的に仕事を回してもらえる。そうして今度は俺が下のもんに紹介してやる。俺らだけが街に残るんだよ」  都心で働くサラリーマンの子供たちは、次々と地元から去って、残るのはワルだけとなる。各世代のワルたちが地層のように積み重なる。この半世紀、50年分の地層となった「地元ヤンキー」という世界が生まれているのだ。  建築業ならば別に都心でも働けるのでは、と聞いてみたところ「お前はバカか」と、こう続ける。 「他の街は、地元のヤツがそういうオイシイ仕事を押さえているんだ。関係のない俺に仕事をくれるわけない。だったら地元に残るほうがいい。アホでもわかる理屈だろ」

杉原さんのワル川柳

仲間なら 逃走犯でも かばうっしょ <取材・文/週刊SPA!編集部> ※週刊SPA!7月23日発売号「社会に出た[元ヤンキー]の光と影」特集より
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週刊SPA!7/30号(7/23発売)

表紙の人/ MIYU

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