仕事

シニア求人、10~20年後の未来予測。どんな仕事がある?

60歳以上の正社員を募集したパソナの展望

 近年はシニアのオフィスワーカーの求人も増加中。例えば人材サービス大手のパソナグループは今年、定年退職者を採用するエルダーシャイン制度を開始。営業、人事のエキスパートなど80人を募集した。制度について同社HR・アドミ本部長補佐の山本哲史氏に聞いた。 「近年は『キャリアを生かして新しい仕事を』と考える方も増えています。定年で初めて転職マーケットに出てきた優秀な方が多い一方、仕事探しは知人の紹介かハローワークと、マッチングが難しい状況でした。パソナではマーケットの活性化を考え、その第一歩として自社採用を行ったかたちです」  問い合わせは1000件を超え、予定人数の80人を順調に採用。その中には大手企業出身者のほか元経営者の人もいたという。 「フルタイムではない方や兼業の方、両親の介護で4時退社の方もおり、世代の要望に応じた勤務体系で働いていただいています」  系列のパソナマスターズではシニア世代の人材派遣などをすでに実施中。どんな需要が多いのか。 「まずは建設ラッシュが続く建築施工系の技術職。施工管理、建築設計などの資格を持つOBは引く手あまたですね。また近年は、シニアでも実務で手を動かせる方が求められる傾向が出てきました」  そう話すのは同社代表の中田光佐子氏。ほかの職種でも時代に応じた求人が増えているという。 「海外と取引する企業が増え、国際法務の知識を持つ方や、海外営業の経験者に需要が出てきました。手作業の業務を自動化するRPAの導入が進み、業務プロセスを設計できるIT企業の出身者も人気。従来これらの職種は中堅層が採用対象でしたが、人材不足でシニアも対象に入りつつあります」  そのIT業界を筆頭に、今後はシニアと縁遠い印象の業界・職種でも採用が活発化していきそうだ。

<定年サラリーマンの採用が増加中の業界>

●管理・事務系……業界を問わず求人の多い職種も。「経営指導や組織改革の経験者、人事制度の設計ができる方、株主総会の取り仕切りやIPOの経験者は特に中小企業でニーズが高いです。内部監査や特許関連の職種も人気です」(中田氏) ●IT業界……IT人材不足で、シニア世代も採用する企業が増加。求められるのは主にマネジメント側の人材だ。「プロジェクトの進捗・工程管理の経験を持つ人は開発プロジェクトマネジャーなどの職種で需要があります」(中田氏) ●建築業界……建築施工管理、電気制御、機械設計などの技術系職種に人気が集中。「企業からは『資格保持者はすぐに紹介を』との依頼も多いです。特に施工管理の有資格者は需要大。悠々自適の退職者にも声がかかります」(中田氏) 取材・文/藤村はるな 古澤誠一郎
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