更新日:2023年04月20日 12:34
エンタメ

奇才・松尾スズキが描く「夫婦という危うい関係」とは?

不謹慎を笑えるのは映画や演劇ならでは

――本作のクライマックスでもある“女の海”と呼ばれる乱交シーンについて聞かせてください。 松尾:そうやって虚しいセックスを重ねていくうちに、彼の頭のなかで最終的に「大勢の男と女がやってることで自分もやってることにする」という思考にたどり着くんですけど、あの場面、よく見ると全然やってないんだよね(笑)。あれは結局、人間というものを俯瞰で見るとああいうものなんじゃないかっていう、煩悩を具現化したひとつの形なんです。 ――大人数での撮影は、かなり大変だったと思いますが……。 松尾:撮影が終わった後、ローションまみれになった50人近い出演者を少しずつロケバスで銭湯にピストン輸送したんですよ。AV女優の方たちと肩を寄せ合って震えながら順番待ちしているときに、「松尾さん、頑張ってくださいね」とか言われて。彼女たちのビジネスじゃない瞬間を垣間見ることができて、ちょっとほっこりしましたね(笑)。 ※10/8発売の週刊SPA!のインタビュー連載『エッジな人々』から一部抜粋したものです 【松尾スズキ】 ’62年、福岡県生まれ。’88年に大人計画を旗揚げし、’97年に第41回岸田國士戯曲賞を受賞。小説では’06・’10・’18年に芥川賞にノミネート。長編映画監督は本作で4本目。12月にはミュージカル『キレイ―神様と待ち合わせした女―』の再々々演が控えている 取材・文/中村裕一 撮影/増田岳志 ヘアメイク/板垣美和(MARVEE) スタイリング/安野ともこ(コラソン)  衣装協力/DAVIDS CLOTHING 撮影協力/バーレスク東京
株式会社ラーニャ代表取締役。ドラマや映画の執筆を行うライター。Twitter⇒@Yuichitter
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週刊SPA!10/15・22合併号(10/8発売)

表紙の人/ 高畑充希

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