雑学

佐藤優の人生相談【両親の離婚ついて】

【佐藤優のインテリジェンス人生相談】
“外務省のラスプーチン“と呼ばれた諜報のプロが、その経験をもとに、読者の悩みに答える!

◆相談者 キー坊(ペンネーム) 男性 休職中 37歳

 母が父と離婚することを決めたようです。直接の原因は、父が東電の賠償金のほとんどを末弟の借金返済に使い、生活が困窮していることです。が、間接的な原因として、父が母に冷たいということもあります。買い物のときカゴも持ってあげない。顔面から転んだときも起こしてあげない。骨折したときも手を貸してあげない。別れたくなるのもわかります。母は、長男の僕に「一緒に住もう」と言っています(僕は独身)。

 しかし、ここにきて、父がかわいそうになってきました。できれば離婚を回避し、父に、母を大切にするよう改心してもらいたいと思っています。ちなみに僕は心療内科に通院していて、今回のことで安定剤を増やしてもらいました。どうぞ適切なアドバイスを宜しくお願い致します。

◆佐藤優の回答

 御両親の離婚について、キー坊さんは心を痛めていることと思います。キー坊さんが37歳なので、御両親は子供の養育の問題は抱えていないでしょう。御両親が離婚すると決めた場合は、その決断を受け入れるしかないと思います。ただし、その前に家族会議を行って、今後の生活の展望について、きちんと話し合うことをお勧めします。

 ここで重要なのは、家族で助け合い、連帯することが現実の生活においてどういう意味を持つか、冷静に考えてみることです。私が尊敬する作家の宮崎学先生は、「自助」という発想の陥穽について、こう述べています。

<「自助」というのは、自分がおかれた状況を、「みずから打開しなければだれも打開してくれない」ものと認識し、その状況の打開にみずから立ち向かっていくことである。ただ、そのとき、その場にいる全員が同じ状況に直面して、同じ自助の構えをもっているとするなら、そこには自助が他助になり、他助が自助になる関係が成り立つのである。これが「自助」の「連帯」である。(中略)そうした関係が成り立っているところにおいては、他人を助けるのは自分のためでもあるのだ。そこでは、他人を助けようとする者のみを他人は助けてくれるからだ。そこでは、自分だけを助けようとする者を、他人は助けてくれないのだ。そこは協同なくして自律はない場所なのだ。(中略)他人のためにすることが自分のためになるという関係がおたがいに成り立っているような関係がそこにはある。そして、そのような社会的関係のもとでは、「自分のため」=利己と「他人のため」=利他とが、対立しあわずに両立する。その関係は、むずかしくいえば「相互主義(ミューチャリズム)」、ひらたく言えば「お互い様」である。相互主義は利己主義に対立し、「お互い様」は「自分勝手」に対立する。>(『「自己啓発病」社会』210〜211頁)

 キー坊さん、弟さん、お父さん、お母さんがお互いに助け合うような関係を構築したほうが、離婚することや、キー坊さんとお母さんが一緒に住んで、お父さんを1人にするよりも、ずっといいシナリオではないかということについて、感情ではなく、理屈にもとづいてきっちり話し合ってみることをお勧めします。御両親が離婚した場合、追加的にどれくらいお金がかかるかについても、計算してみるとよいでしょう。

 キー坊さんは、心療内科に通っていて、御両親の離婚騒動で、処方してもらう安定剤の量が増えたということですが、いくら薬を増やしても問題解決には繫がりません。むしろライフプランナーと、今後、どういう生活をすれば、どれくらいお金が必要になるかということについて話し合い、データを整えるほうが問題解決に貢献すると思います。ダメでもともとくらいの気持ちで、虚心坦懐に御両親、弟さんと話してみることを強く勧めます。

【今回の教訓】
家族が“連帯”することの意味を考えよ

◆募集
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【佐藤優】
60年生まれ。’85年に外務省入省。在英、在ロシア連邦大使館、国際情報局分析第一課で活躍。’02年に背任の容疑で逮捕。『インテリジェンス人生相談』個人・社会編に続く第3弾、新刊『インテリジェンス人生相談<復興編>』が発売中!

◆今回の参考文献
「自己啓発病」社会

自己啓発ブームに一石を投じる本

インテリジェンス人生相談 復興編

超個人的な問題から佐藤優が導<日本復興のシナリオ>とは!?


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