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SOSの声も助けてもらえなかった人々…貧困者の相談支援「大人食堂」の試み

 無料で温かい食事を提供し、かつ労働問題や生活問題を抱えた労働者の相談支援を行う「大人食堂」が宮城県で今年5月から月1回ペースで開催され、大きな話題を集めている。子供向けの「子ども食堂」は全国に広がりつつあるが、大人向けは珍しい試みだ。
年収100万円の絶望

「大人食堂」無料で温かい食事を提供、労働者の相談支援を行う

貧困者に食事と“居場所”を提供する「大人食堂」

 主宰する仙台けやきユニオン代表・森進生氏は、始めた経緯をこう語る。 「路上のホームレスだけが貧困ではなく、我々はネットカフェ難民、車中泊など社会から“見えない場所にいる声を上げられない人々”にも手を差し伸べたい気持ちがあります。でも、彼らに『労働相談、生活保護相談に来てください!』と問いかけても、ハードルが高いのかなかなか来ない。だから我々は、その前段階として思いの丈を話せる“居場所をつくる”ことの一環として始めました」
年収100万円の絶望

継続的に開催することで、徐々に信頼関係が築かれていく。「そして学生ボランティアにも話し始めてくれます」と主宰の森氏

 開催日に振る舞われたのは野菜をふんだんに使ったハヤシライス、サラダなど栄養価の高い食事だ。足を運んだ40代女性が温かい食事に安心したのか、胸の内を話し始める姿が印象的だった。森氏が続ける。 「来訪される人は40~50代の中高年が中心。しかし、実際に相談までに発展する人は10人に1人程度の割合です。多額の借金返済で困っていた女性に生活保護申請を打診するも、『お上に頼りたくない。世間体も悪くなる』と断られたこともあります。  なぜなら彼らには何度も貧困や挫折を経験してSOSの声を出してきたが、助けてもらえなかった経験があるからです。まずは我々を信頼してもらうことからスタート。大人食堂では世間話でもいい、同じ釜の飯を食うことにより、信頼関係が築かれ、相談に発展することを我々は望んでいます」  相談者の女性が食事を終え、学生ボランティアに「私のようにならないでね」と自嘲気味に話す姿があった。貧困に苦しむ大人たちを救う場所は少ない。大人食堂のような活動は、今の日本社会に必要なのかもしれない。 年収100万円の絶望<取材・文/週刊SPA!編集部>
年収100万円で生きる-格差都市・東京の肉声-

この問題を「自己責任論」で片づけてもいいのか――!?
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