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東京五輪スポーツクライミング候補、野中生萌が発起人! 密林の巨岩に登る大会に密着

「ハンパない!」フィナーレは圧巻のクライミング一撃ショー

参加者にアナウンスする野中

「今年も皆さんが楽しんでくれているようで良かったです」  大会の旗振り役を努めた野中は、嬉しそうに言った。ボルダリング強豪国となった日本だからこそ、「勝負だけじゃない、楽しいクライミングを」という強い思いがある。  もちろん今、彼女がフォーカスしているのは、来年の東京オリンピック。人工壁の3種目(ボルダリング、リード、スピード)で順位を競う「スポーツクライミング」の最有力候補選手で、メダル獲得の期待も高い。そんな今こそ、一般の人たちとクライミングが持つ原点としての喜びを分かち合うことに意味も増す。  果たして、メインイベントのスーパー・ファイナルには、名古屋から出場したチームなんご(本多由梨奈さん、伊藤優輝さん、鈴木正信さん)が進出した。2分のオブザベーション、8分のトライタイムの計10分で、3つの課題を3人でどれだけ登れるかを競い合う。

一般参加者による決勝のトライ

「登ります!勝ちます!」と意気込みを語ったチームなんごは、トライを重ねながら伊藤さんと鈴木さんが、揃って1つ目の課題をクリアしてみせるなど、大いに盛り上がった。  チーム生萌は、この宣戦布告を受けると、「そりゃあ、(私たちが)勝ちますよ。プライドがありますから」と闘志を燃やして、いざトライ。すると、同じ課題を3人全員がスルスルと一撃(最初のトライで完登すること)し、続けて、さらに難しい2つ目の課題も鮮やかなまでに、技術を見せつけて再びチーム全員が一撃してみせた。

難解な課題に一発回答で登り切る「チーム生萌」。観客を大いに沸かせた

あっという間に巨岩を征服した野中

 これにはギャラリーとなって応援していたクライマーたちも「ハンパない!」「やばすぎる!」と仰け反って、さらに沸き立った。  トップレベルの技と原点回帰の喜びが詰まったクライミング大会は、来年もさらなるクライマーの注目を集め、開催されることが期待されている。東京五輪の正式種目となったことで競技人口が急増しているクライミングの原点を見た大会だった。 取材・文/松山ようこ 撮影/渡辺秀之
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