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“松ちゃん似”の中島イシレリが語る「ラグビーW杯日本大会とその後」

負けた南ア戦の翌日は朝・昼・晩ケンタッキー

 W杯でプロップとして見事な役割を果たしたイシレリだが、実は代表にデビューしたのは29歳だった昨年11月のこと。昨季のトップリーグではナンバー8(フランカー)として「ベスト15」にも選ばれていた。しかし、代表ではそのポジションの層が厚く、招集される可能性が低いという理由で、今年1月に異例ともいえるプロップへのコンバートを受け入れて代表の座を手にした苦労人でもある。ただ、運動量よりパワーが求められるプロップは彼にとって天職だったのかもしれない。フランカー時代には大好きな食事も制限しなければならなかったが、プロップでは体重も武器になったからだ。 「やっぱりラグビーをやってていちばん楽しいのは、試合のあとにみんなでワイワイやりながら食べたり飲んだりできること。W杯の間も週に1~2回はチーム全員で焼き肉やステーキを食べに行って、ビールを飲みながら試合中に誰があそこでどうだったとかイジり合ったりしてたからね」  W杯期間中は海外出身選手を中心に頻繁に寿司店に通っているということが噂になった。だが、イシレリが好むのは寿司より肉。大好物はケンタッキーフライドチキン(KFC)と公言している。 「オレが寿司屋に行ったのは1回だけ。ラファエレ(・ティモシー)とかレメキ(・ロマノラヴァ)らは、毎日よく行くなと思ってた。だってサーモンしか食べないし。まだウルフパック(日本代表候補チーム)の頃に、みんなでサーモンを食べすぎて売り切れになったこともあったからね(笑)。オレはW杯が終わった次の日にKFCに行って、その日は朝・昼・晩ともKFC。ケンタッキーめっちゃ好きなんだけどCM来ないかな?」  ラグビーファンのビール好きは有名だが、選手たちが飲む酒の量も尋常ではないそうだ。 「夜飲みに行ったら、だいたい次の日の昼まで。W杯の打ち上げのときも、みんなでハイネケン10ケースくらい飲んだんじゃないかな。いつもはビールを飲んで赤ワインからウィスキーにいって、もう1度ビールに戻ってから最後は酎ハイ。30杯くらいは飲むね(笑)」  ’14年に妻・理恵子さんと結婚し、’15年8月には日本国籍を取得。2人の子供にも恵まれたが、シーズン中は神戸と千葉で家族と離れて生活する時間が長い。W杯後のオフは家族と束の間の時を過ごしているが、理恵子さんの悩みはアイランダー(太平洋諸島の人々)らしいイシレリのイージーゴーイングすぎる性格とか。 「普段、一緒にいられないのに、彼はたまに合宿から帰ってくる日などもよくわかってないんです。ある時、海外遠征から日曜日に帰ると言ってたので空港まで迎えに行こうと思ったら、その日の便がなかったり。精神年齢は、たぶん幼稚園児くらいですね(笑)。ただ、子供の面倒はよく見てくれて、家族ともうまくやってくれているのは助かってます」
ラグビー日本代表・中島イシレリ

家族と束の間の時を過ごすイシレリさん

 4年後のフランスW杯では34歳となるイシレリ。集大成に成り得る大会で、今回以上の成績を目指したいと誓う。 「次はもっと自信を持って戦えるし、そこまで頑張って、狙うのはベスト4か優勝。ただ、その前に来年1月12日にトップリーグが開幕するので、応援に来てほしい。せっかくファンが増えたし、大事にしないと。写真とか一緒に撮るのも全然大丈夫だし、声かけてほしいね」 【中島イシレリ】 ’89年、トンガ生まれ。リアホナ高卒業後に流通経済大に入学。NECを経て、’15年に神戸製鋼に移籍。’18年11月に代表デビュー。’15年8月に日本国籍を取得し妻・理恵子さんの名字である中島姓に。2歳のロニー君、5か月のアンドリュース君の2児の父でもある 取材・文/栗原正夫 撮影/ヤナガワゴーッ!
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