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『ルパン三世』五ェ門の声優・井上真樹夫さんが死去。今まで演じた名キャラたち

 声優として、長年活躍を続けてきた井上真樹夫さんが、11月29日に逝去した。享年81歳だった。公式ホームページでは、「持病の狭心症悪化のため永眠いたしました」、「生前、皆様から頂きました御厚誼に心より深謝いたします」とのコメントも発表された。
井上真樹夫

画像は、「井上真樹夫OFFICIAL WEB」より

 名優の予期せぬ訃報に触れ、彼の代表作を思い返したファンたちの投稿によって、SNS上は悲しみの声や感謝の想いで溢れた。今回は、井上さんが演じた名キャラクターたちを、改めて振り返ることにしよう。

花形満:スポ根アニメの金字塔『巨人の星』で、主人公のライバルを熱演

 井上さんのキャリア初期の代表作といえば、1968年から79年まで、3シーズンに渡って演じた花形満だろう。梶原一騎原作の名作スポ根アニメ『巨人の星』シリーズの主人公・星飛雄馬のライバルとなるこの役で、彼の演技と声を覚えた人も少なくないはずだ。
巨人の星

演じた当時井上さんは29歳だったが、飛雄馬役の古谷は中学生だったという。(写真は『巨人の星 Special Blu-ray BOX 2(期間限定生産版)』から)

 花形は、自動車メーカー・花形モータースほか、多くの企業を統括する有名財閥の次期当主と目されている美形の少年だ。しかし、多くの分野で頂点を極めたがゆえに不良になってしまい、気まぐれで結成した野球チームで暴れまわるように。そこで出会った飛雄馬に破れ、彼を打倒するために、再び情熱を燃やしていく。  井上さんが花形を演じた際、あえて作中のライバル関係を深く見せるために、飛雄馬役の古谷徹さんとの交友を制限していた、という逸話まで生まれた。しかし後年、WEBに掲載された対談で井上が明かしたところによれば、「実際は別にそんな避けていたわけじゃない。単に、あっちが中学生で話題がなかったんだよ」とのこと。29歳だった井上さんと古谷さんの、大きな年齢差が理由だったようだ。

石川五ェ門:言わずと知れたはまり役。『ルパン三世』シリーズの名キャラクター

 井上さんのキャリアにおいて、一番の代表作として挙げられることも多いのが、人気アニメ『ルパン三世』シリーズの石川五ェ門だろう。五ェ門というと、井上さんの声が浮かぶという方も多いことだろうが、実は2代目。初代・五ェ門は、同じく名優として名高い、大塚周夫が務めていた。
LUPIN

ルパンと五ェ門の邂逅を描いた本作で、3代目を演じたのは浪川大輔だ。(画像は『LUPIN THE IIIRD 血煙の石川五ェ門 通常版 Blu-ray』より)

 鉄さえも軽々と真っ二つにする名刀・斬鉄剣を振るい、仲間であるルパンや次元と共に、幾多の危機を乗り越えていく五ェ門。あまり口数が多いキャラクターではないが、彼がフッと呟く印象的なセリフに、世界中の人々は心を奪われてきた。  しかし井上さんは、自身の声が「美声」と称されることには、違和感を抱いていた様子。WEB掲載の対談では「ありがとう。でも美声じゃないよ、全然、美声じゃない。皆さん、それは誤解していますよ」と、苦笑まじりに返したこともあった。

ハーロック:海賊戦艦アルカディア号で、宇宙を股に駆ける隻眼の船長

 松本零士作品の重要人物である、『宇宙海賊キャプテンハーロック』のハーロックも、井上さんのキャリアを代表するようなキャラクターと言えるだろう。影のある佇まいと、大きな傷の付いた男前の顔、黒い眼帯に雄々しく羽織ったマント。井上さんの男前ボイスと相まって、このキャラクターに心を射抜かれたという人も多かったようだ。
宇宙海賊キャプテンハーロック

実写版映画では、ハーロック役を木村拓哉が演じている。(画像は『宇宙海賊キャプテンハーロック DVD-BOX』より)

 義と信念を貫き通す男の中の男、といったハーロックの役どころを、井上さんはささやくような引き締まった声で熱演。この演技は意図したもののようで、ハーロックの屈折した内面を表現するために、マイクに口を近づけ、声を張り上げないようにしていたのだとか。また、熱血ボイスの神谷明が人気となりつつあったことから、あえて抑えた演技を心がけていた面もあったようだ。
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