2019年「最高・最低だったドラマ」をTV業界人が選定。『あな番』の評価は…
1月クールから現在放送中の秋クールまでを通して、今年のドラマは衝撃的な高視聴率を叩き出すドラマこそなかったものの、世間の注目を集めた話題作や新しい試みに取り組んでいた意欲作が目についた1年だった。その一方で、不振にあえいだ作品があったことも事実だ。
まずはプロデューサー陣に「最高のドラマと最低ドラマ」を聞いてみた。1人目は、キー局で多数の深夜ドラマを手掛けてきた40代プロデューサーA氏だ。
「今年のトレンドとして、日テレ日曜午後10時半の若者向けサスペンスドラマ枠が成功したこと、NHKドラマに良質なモノが多かったことは挙げておきたいですね! 『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』『あなたの番です』(日本テレビ系、日曜夜10時30分~)では、SNSやYouTubeで次の展開を考察する視聴者が現れ、ネットを中心に新たな形のバズり方をしていたことが衝撃でした。特に『あなたの番です』は2クールにわたる超大作にも関わらず、視聴率はグングン上昇。放送中の『ニッポンノワール ―刑事Yの反乱―』がハネなかったことを加味すると、マンションという狭いコミュニティの物語にしたことが不気味でよかったのかなと。
その他では『トクサツガガガ』『これは経費で落ちません!』(NHK、金曜夜22時~)の2作品がよかったです。まさかNHKで“特撮オタク”を取り上げるとは思わなかったし、『これは経費~』は多部未華子さんや伊藤沙莉さんといった演技力の高い女優がそろい、イマドキの会社員像をうまく描けていた良作だと思いました。最高のドラマを一つ選ぶとしたら……『あなたの番です』ですかね」
一方で、A氏に「最低のドラマ」も選んでもらった。
「最低を選ぶのは大変心苦しいのですが、『びしょ濡れ探偵 水野羽衣』(テレビ東京系、水曜深夜 1時35分~)」はパンチが足りなかったかなと。主演の大原櫻子さんも演技が下手ではなかったのですが、脚本や演出面がチープすぎたと思います」
続いて、キー局の若手女性プロデューサーB氏は、こんな作品たちを挙げてくれた。
「西島秀俊さんと内野聖陽さん演じる男性カップルの食卓風景を描いた『きのう何食べた?』(テレビ東京系、金曜深夜0時12分~)が最高のドラマでした。主演のおふたりが好きなこともありますが(笑)、料理シーンも丁寧でしたし内容的にも奥の深いヒューマンドラマになっていたと思います。正月スペシャルの後には、続編決定のウワサもあるようなので楽しみにしています。月9の『監察医 朝顔』(フジ系、月曜夜9時~)も涙を誘う感動作で“新しい月9”でよかったですよ」
そして、B氏も「最低ドラマ」を悩みながら選んでくれた。
「最低のドラマは『いだてん~東京オリムピック噺~』(NHK系、日曜夜8時~)ですね。放送ごとにキャラクターたちが生き生きとしてきた印象はありますが、最初は知らない偉人たちが続々登場するわちゃわちゃとした展開に入っていけませんでした。大物脚本家になったクドカン(宮藤官九郎)さんにはもう誰も口出しできないのかな……と心配したほどです」
そんな1年を総括して、数名の業界関係者に「今年最高のドラマと最低のドラマ」を赤裸々に選んでもらった。彼らが選んだ作品は何だったのか?
“あな番”とNHKの良質ドラマが高評価
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テレビドラマとお笑い、野球をこよなく愛するアラサーライター。
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