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なぜ『スター・ウォーズ』は偉大な映画なのか? 権利を売却した理由は…

40年の総決算という歴史的瞬間に立ち会おう

 そんな『スター・ウォーズ』シリーズは、最新作のEP9『スカイウォーカーの夜明け』で過去最大のターニングポイントを迎えそうだ。単に続三部作(EP7~9)の完結編というだけでなく、アナキン、ルーク、レイア姫といったシリーズの中心人物たちが1作目から繰り広げてきた「スカイウォーカー家の物語」の総決算にもなると予告されているが、詳細は本稿執筆時点でも謎に包まれたままだ。映画評論家の松崎健夫氏は語る。 「続三部作のプロデューサーであり、今回は監督を務めるJ・J・エイブラムスは、旧三部作(EP4~6)をリアルタイムで観て育ち、『スター・ウォーズ』に憧れた人です。だから続三部作は旧三部作にオマージュを捧げた内容になっています。  EP7では新たな英雄たちの誕生を描き、EP8では彼らが乗り越えなければならない試練を描いた。これはそれぞれEP4とEP5に対応しています。ということは、EP9は大団円を描いたEP6と対応する可能性が高い。加えて“今回はシリーズ総決算”という事前情報を考慮すると、40年以上続いた壮大なサーガが、これで本当に終わるのではないかと言えるのです」
スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け

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 すでにディズニーは新たなシリーズを公開すると予告しているが、「それはEP1~9まで描いてきた時代とはまったく別の世界を描くものになるはず」と松崎氏は言う。 「実際、続三部作でヒロインのレイを演じているデイジー・リドリーは今作での卒業を発表しています。つまり、主要キャストの刷新は間違いない。そもそもルーカスがディズニーに作品の権利を売却したのも、自分が愛する『スター・ウォーズ』を死後も作り続けてもらうためだったのではないかと思います。そのためにもどこかで“ジョージ・ルーカスの『スター・ウォーズ』”には決着をつけないといけない。それが『スカイウォーカーの夜明け』になるということです」  しかし“シリーズ総決算”ならば、今までのEPを観ていない人にはハードルの高い内容になっているのでは? 「いや、すべて観ておく必要はないと思います。直接繫がっているEP7&8は観たほうが楽しめるでしょうが、まったくの初見もありだと思うんです。今は配信で簡単に過去作を振り返ることができますから、とりあえず話題作を観てみようと軽い気持ちで観賞して、面白いと感じたらさかのぼってみる。  10年続いたシリーズの総決算だった『アベンジャーズ/エンドゲーム』のときも、そういう楽しみ方をした人はたくさんいました。しかも、こっちは40年以上の総決算。その結末を映画館で目撃することは、映画の歴史に刻まれる瞬間に立ち会うということを意味しています。シリーズ未見だからといって、この貴重な機会を逃すのはもったいないと思いますよ」(松崎氏)
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EP9の前に見ておきたい! あえて選ぶベストエピソード
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●『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け
1作目『新たなる希望』の全米公開から42年。壮大なサーガがフィナーレを迎える。’19年/アメリカ/2時間22分 監督/J.J.エイブラムス 出演/デイジー・リドリー、アダム・ドライバー、ジョン・ボイエガほか 配給/ウォルト・ディズニー・ジャパン 12月20日より全国ロードショー中
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