なぜ『スター・ウォーズ』は偉大な映画なのか? 権利を売却した理由は…
~映画『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』~
1作目の公開から40年以上にわたり世界中を熱狂させてきた『スター・ウォーズ』シリーズ。しかし、どうして新作が公開されるたびに大きな話題になるのか。そもそも、なぜ偉大な映画とされているのか――。
そんな今さら堂々とは聞きづらい疑問に対して、ファンサイト「スター・ウォーズ ウェブログ」を運営する藤井隆史氏はこう答えてくれた。
「エピソード(EP)4『新たなる希望』が’77年に全米公開される前までは、ほろ苦い現実を描いたアメリカン・ニューシネマが全盛で、明るく楽しいSF映画は子供向けといわれていました。
しかしシリーズの生みの親であるジョージ・ルーカスは、世界中の神話をベースに、映画の中で“もうひとつの宇宙”を作り上げました。
その宇宙は一瞬しか出てこないキャラクターにも設定がある非常に緻密な世界で、たちまち人々を魅了したんです。この成功によって『スター・ウォーズ』はSF映画を大人も楽しめる一大エンターテインメントに変えただけでなく、ハリウッド全体を娯楽大作路線へと向かわせることになりました」
やがて『スター・ウォーズ』は映画の興行収入だけでなく、グッズや玩具といったキャラクタービジネスからも莫大な収益を上げるようになり、ルーカスは外部からの資金調達に頼ることなく続編を製作できるようになった。
’12年からはディズニー傘下となり、ルーカスは製作を離れることになったが、一時期は「世界一贅沢なインディーズ映画」とまでいわれたのだ。
「『スター・ウォーズ』はこれだけの大作でありながら、ルーカスという一人のクリエーターが全体をコントロールしていた稀有な映画シリーズでした。長く続くシリーズは途中から作品のテイストが変わってしまうことがありますが、『スター・ウォーズ』は唯一無二の世界観を維持したまま、メガヒットシリーズに成長していった。それが世界中で熱狂的に支持される理由のひとつではないでしょうか」(藤井氏)
さらにルーカスはその莫大な収益によって特殊効果スタジオ(ILM)や音響スタジオ(スカイウォーカー・サウンド)を設立し、技術面からも映画の発展を支えた。「『トイ・ストーリー』のピクサーもルーカスの映像制作会社のアニメ部門が前身」と藤井氏が指摘するように、『スター・ウォーズ』の影響は実に多岐にわたっているのだ。
『スター・ウォーズ』続三部作がついに完結。あえて問う、なぜSWは偉大な映画なのか?
●『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』
1作目『新たなる希望』の全米公開から42年。壮大なサーガがフィナーレを迎える。’19年/アメリカ/2時間22分 監督/J.J.エイブラムス 出演/デイジー・リドリー、アダム・ドライバー、ジョン・ボイエガほか 配給/ウォルト・ディズニー・ジャパン 12月20日より全国ロードショー中
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