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消費増税10%の悪影響がヤバすぎる。新春から本格的に景気後退か

問題はロクな対策を講じていない点

 もちろん、前回と単純比較はできない。’14年4月の増税は、アベノミクスが始まった直後のこと。これに対して、今回は米中貿易戦争などで世界的に先行き不透明感が強まった。 「いまだ日本は景気の基調判断を『緩やかに回復している』として、’12年12月から始まった戦後最長の景気回復は継続中であるとの判断を維持していますが、多くの景気指標を見ると’18年10月にピークをつけていたことがわかります。実際、この12月に内閣府から発表された’18年度GDP確報値は、速報値の0.7%から0.3%に大幅に下方修正されている。さらに、多くの人が見落としているのがGNI(国民総所得)。こちらは速報値の0.2%から一転してマイナス0.2%に下方修正されているのです。  GNIは文字どおり、国民が1年間に得た所得の合計を示す数値。つまり、’18年度には早くも日本の所得水準は低下に転じて、そこに世界的な景気減速が重なるという最悪のタイミングで増税が実施されてしまったのです。’20年度の新卒求人倍率は8年ぶりに低下しており、安倍政権がアピールし続けた雇用環境の改善も頭打ちの状況。もはや、『緩やかに回復している』と言える材料は尽きているといっていいでしょう」(第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣氏)  問題なのは、そんな経済環境にありながらロクな対策を講じていない点にあるという。 「12月13日に’19年度補正予算案を臨時閣議決定しましたが、『安心と成長の未来を拓く総合経済対策』と名づけながら、経済の下振れリスクに対処するための重点支援策への投入資金は9000億円どまり。10 月の消費増税では軽減税率や教育無償化に伴う財源を差し引いて、恒久的に2.5兆円の家計負担増になると試算できるのに、まったくその穴埋めができていません」(同)  高橋氏は「そもそも補正を打つのが遅すぎる」と指摘する。 「増税に伴う景気減速が目に見えていたにもかかわらず、10~12月の臨時国会での補正予算成立を目指さず、政府は1月20日に召集される通常国会での早期成立を目指す姿勢です。仮に1月中に補正予算が成立しても、実際に予算が執行されるのは年度末の3月になってしまうでしょう。つまり、増税から半年も追加対策を打てぬまま時間が過ぎてしまうわけです。おそらく、来年度(’20年度)の補正もすぐさま打たないと景気の下支えは難しい。政府の対策が後手に回っているのは明らかです」 軽減税率 ’20年はオリンピックイヤー。東京五輪直前にテレビをはじめ、家電の駆け込み需要が発生する可能性もあるが、「6月にはキャッシュレス決済のポイント還元制度が終了して消費の落ち込みが一層激しくなり、五輪後にはインバウンド需要が急速に萎む」(永濱氏)という。  そして、本格的な景気後退局面入りへ……。果たして、いつまで安倍政権は「緩やかに回復している」と言い続けるのか? 令和2年の日本経済がヤバイことになることを覚悟しておきたい。 <取材・文/週刊SPA!編集部 写真/時事通信社> ※週刊SPA!12月24日発売号「今週の顔」より
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