更新日:2023年05月18日 16:27
デジタル

インスタグラム“限定公開”のイタズラ動画が炎上。数年前のものなのに…

簡単にできる「動画の保存」

SNS しかし、たとえ限定公開でも動画が世に出ていることは事実だ。動画の保存は、スマートフォンにデフォルト搭載されている機能で簡単にできる。そうやって誰かのスマホに保存された動画が、何かしらのきっかけで数年の眠りを破って拡散された……というのが今回の騒動の顛末である。  当事者の男性の心理を推測するなら、「どうして今更こんな動画が!」というのが、正直なところだろう。  しかし、過去は変えられないものでもある。とくに今回は、鉄道運行の安全上見逃してはならない内容だ。決して擁護できるものではない。過去に撮影したイタズラ動画が今になって炎上する、ということは今後も起こり得ることだ。むしろ、日本という国ではそのようなケースの大炎上劇が発生する可能性はかなり高いと言える。

日本人とデジタルタトゥー

 2000年代の日本の携帯電話市場は、世界に類を見ない大繁栄を迎えていた。写メール、音楽プレイヤー、位置情報と連動した地図機能、そして高画質の動画撮影。この当時の携帯電話世界シェア1位はフィンランドのノキアだったが、ノキアの開発部で検討されていることが日本では既に実現していると言われていたほどだ。  それ故に、「携帯電話で動画を撮る」ということに関してはiPhoneが登場する以前から日本人は実施していた。しかし同時に、ガラケー全盛時代からイタズラ写真や動画の撮影は日本列島のどこかで行われていたはずで、その時のデータが何かしらのはずみで拡散されたら……という可能性は常に考えられる。  また、そこまで時代を遡らなくとも、日本人が「SNS初心者」だった数年前の写真や動画が今もどこかで眠っているはずだ。ここで「デジタルタトゥー」という単語の意味を、改めて知っておこう。一度インターネット上に公開されたデジタルデータは、複数の人間が保存と再配信を繰り返すことによって結果的に消去不可能な状態になってしまう。今回の奈良市職員の男性も、素顔と所属部署が明らかになっている。これをインターネット空間から完全に除去することは不可能に近い。  だからこそ、イタズラ動画の撮影は絶対にしてはいけない。「どうせ友達にしか公開しないものだから」という油断と無知が、一生の後悔につながる。<文/澤田真一>
ノンフィクション作家、Webライター。1984年10月11日生。東南アジア経済情報、最新テクノロジー、ガジェット関連記事を各メディアで執筆。ブログ『たまには澤田もエンターテイナー
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