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「サイゼリヤ」が表に出さない商品開発の裏側を…飲食のプロが大胆予想

 商品開発には、自分が作りたいものと、お客さんのニーズ、そして広報や社長といった上層部のようなさまざまな複雑なパワーバランスの中で葛藤がつきまとう。サイゼリヤで人気となり、即販売中止となってしまった「アロスティチーニ」。このメニューを通して、サイゼリヤの内部事情を大胆予想した。 サイゼリヤ 予想してくれたのは、『あさチャン!』(TBS)など多数メディアで紹介された南インド料理の名店「ERICK SOUTH」(エリックサウス)をはじめ、複数の飲食店を経営する稲田俊輔氏。そんな彼がチェーン店への愛情とプロ目線で見たそのすごさを記した『人気飲食チェーンの本当のスゴさがわかる本』が一部ファミレス好きの間で話題となり、この度、重版が決まったほど。  またこの新書を読んで稲田氏に好感を抱き、対談相手に名乗りを上げてくれたのが、『自分史上最多ごはん』(マガジンハウス)などの著者である偏愛系フードライターの小石原はるか氏だ。  食のプロの対談、偏愛の限りを尽くす2人のコアな話をお届けする。

飲食のプロが予想するチェーン店開発者の内部事情

小石原はるか(以下、小石原):稲田さんの『人気飲食チェーンの本当のスゴさがわかる本』読ませていただきました! すごくわかりやすくまとまっていて、熱量もとてつもないですね。きっと本に登場する各社の広報や開発担当の方たちも読んでいると思います。 稲田俊輔(以下、稲田):ありがとうございます! 実は僕の知り合いづたいで、今回紹介したお店の中の1つで開発担当をしていた方が「何で見てもいないのにこんなに中のことがわかるんだ!?」とおっしゃっていたというのを聞きまして。それは「よし!」と思いました(笑)。 小石原:素晴らしい! 筆者冥利に尽きるじゃないですか! 稲田:だけど逆に外れている部分もあるかもしれないので、「お前あれ違うよ!」みたいな反応もこないかなと密かに期待しているんですけどね。返してほしいからあえて言い切っているようなところもあるので、「違うなら違うって言って!」と思ってます(笑)。僕の個人的な気持ちとしては、この本について各社の方とお話ができたら最高です。 小石原:お会いできるとしたら、どの部署の人がいいですか? やっぱり開発担当の方ですかね? 稲田:そうですね! たぶん商品開発の方って、自分が作りたいものと、お客さんのニーズ、そして広報や社長といった上層部のようなさまざまな複雑なパワーバランスの中で葛藤して、最終的にちょうどいい着地点を見つけるっていう作業をずっとし続けてらっしゃるはずなんですよ。やりたい商品の開発を途中で諦めることもあるだろうし、だから僕はそこの葛藤を聞いてみたい。例えばサイゼリヤでたまに出てくる「柔らかポークリブのグリル」、あれは絶対開発者にとっては「抑えのB案」だったと思ってるんですよ。 小石原:なるほど。味のバランス的にもね。 稲田:そう。本当はもっと出したい味があって、あれはB案だったんだけど、上層部がA案を却下したからあれでいかざるを得なかったんじゃないかと思っていて。で、実はその雪辱戦が先日話題にもなった「アロスティチーニ」だったんじゃないかと!
人気飲食チェーン

あまりの大人気から原料が不足して販売休止になったサイゼリヤの「アロスティチーニ」(ホームページより引用)

小石原:あ~、スペアリブの仇を羊で討つ! 稲田:そうそう! 小石原:串刺しにしてやると(笑)。 一同:(笑)。 稲田:あれはリターンマッチだったんじゃないかな~。開発担当の方が本当に作りたかった、世に出したかった商品がやっと出せたのではないかと思うのですが。真相を確認してみたいですね。 小石原:もしそうだとしたら、いま開発チームの皆さんは祝杯を上げていいですね! 稲田:ですね! ただ、広報の方にそれを聞いても「そんなことありません!」と言われちゃうと思うので……。 小石原:広報の公式な回答としては「すべての商品に自信を持って出しているので、メニューに載った商品にB案などありません!」となりますよね(笑)。
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もし開発者の本音が聞けたら…
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