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サイゼリヤの新メニューが「本場イタリア化」している理由

 最近のサイゼリヤが料理にかける思いは、バンドが本当にやりたい音楽を追求しはじめるときに似ている気がする――。そう語るのは、『あさチャン!』(TBS)など多数メディアで紹介された南インド料理の名店「ERICK SOUTH (エリックサウス) 」をはじめ、複数の飲食店を経営する稲田俊輔氏だ。  そんな彼がチェーン店への愛情とプロ目線で見たそのすごさを記した『人気飲食チェーンの本当のスゴさがわかる本』を読んで稲田氏に好感を抱き、対談相手に名乗りを上げてくれたのが、『自分史上最多ごはん』(マガジンハウス)などの著者である偏愛系フードライターの小石原はるか氏。  今回の対談では、2人のディープな視点でサイゼリヤを斬る!

やわらかお肉とごろごろ野菜のポトフ

サイゼリヤが新メニューにみせた“ロックさ”

小石原はるか氏(以下=小石原):ここ2、3年でサイゼリヤのメニューがすごく変わっていませんか? 稲田俊輔氏(以下=稲田):そうなんです。いわゆる“本格派メニュー”というか「日本ではこうだけど本場イタリアでは実はこうなんですよ!」みたいな啓蒙的なメニューが増えていますね。昔はチラホラだったのが、最近は連続で出てきています。 小石原:「みんなこのくらいのレベルにはもうついてこれるよな!?」というメッセージ性をすごく感じます。 稲田:そうですね。バンドが本当にやりたい音楽を追求しはじめるときに似ている気がします。最初はいわゆる売れ線の曲で売り出したけど、一定の活動期間と実績を重ねたことで「俺らが本当にやりたい音楽はこれなんだ!」というのを誰にも媚びずに自信を持って出している感じ。 小石原:やはりそういう空気感ありますよね。ちなみにこの冬の新メニューはいかがでしたか? 稲田:何といってもやはりポトフが素晴らしくて。  小石原:確かに「やわらかお肉とごろごろ野菜のポトフ」はいいですよね~! 稲田:たぶん作るのも手間が掛かるんですよ。これ、現場大変だろうなと……。あとほどよく作り込みすぎてないところに、まさに“サイゼイズム”が端的に表れているなと感じます。 小石原:確かに。ロイヤルホストの対極ですよね。あの「余地がある」感じが。 稲田:ロイヤルホストだったらきっともっと作り込むだろうし、ガストだったら逆に何か足してより大衆的なものにすると思うんですけど、サイゼリヤは「いいじゃん。もうこれで十分」という感じで出しちゃうところがすごくかっこいいんですよね。 小石原:ロックなわけですね。 稲田:すごいロック。「これでいいじゃん」というのは別に手抜きではないんです。あくまでも徹底して素材主義を貫いていて、そこに自信があるからこそ余計な手を加えないまま出せてしまう。 小石原:ブレていないんですね。余計なことを“あえて”しないというスタンスが一貫していると。 稲田:そうなんですよ。スリーピースバンドに変なアレンジ入れるなっていうのと同じで。 小石原:ああ、なるほど(笑)。急にキレイなギターソロを入れられても困るわけですね。 稲田:そう! ギターウルフでいいわけですよ。その意味で、余計なことを“あえて”しないサイゼリヤはロックだなと。
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サイゼリヤに行くとホッとする
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