ライフ

ヤンキーが好きな音楽、車、ファッション…10年前と今ではこれだけ違う

ファッション 悪羅悪羅系ブームから一転…

 現役世代に好きなファッションのメーカーを尋ねると、拍子抜けする答えが返ってきた。 「WTW(ダブルティー)っていうブランドがあるんですよ。そこのトートバッグとかは洗練されていて好きですね。あとはロンハーマンとかグッチとかのハイブランド。……とはいえ自分らはカネもないんで、パチモンとか先輩から回ってきたボロいやつで喜んでいるんですけど(苦笑)」(ユウキ)  おしゃれ感度の高いユウキだが、あえて不良っぽさを演出したいときはダメージジーンズを身につけるという。現在のヤンキーは“パリピ”と混同されがち。だが、自分たちは蛍光カラーのスニーカーを履くようなヤワな連中とは違う──。そのことを声高に主張するためである。  一方、悪羅悪羅世代の黒石氏はアウトロー系ファッション誌の表紙を何度も飾ったことがあるだけに、ヤンキーの洋服事情にはさすがに明るい。 「俺らの世代の少し前はカールカナイとかFUBUが流行っていて、さらにその前はガルフィーとかサンタフェでした。それで自分も関わった悪羅悪羅ブームのときにクレイジートライブとかサーティンジャパンが大人気になったんだけど……今はそのへんの枠、どうなっているんだろうな?」(黒石氏)
この投稿をInstagramで見る

100回目の投稿 パチパチ おはよぉ

黒石高大(@kuroishi_takahiro)がシェアした投稿 –

 ガルフィーとは変な犬のイラストが描かれたブランド(主にジャージ)。チンピラ御用達だったが、近年はアリアナ・グランデが愛用するなどして再評価の波が訪れている。キャバクラを経営しているため夜の街に出向くことが多い33歳のオサムは、不良ストリートファッションの変容について次のように解説する。 「悪羅悪羅系の雑誌もすでに廃刊になったし、ヤクザもヤクザらしい恰好をしなくなった。だから若い子は不良っぽい洋服を着ないんです。本当にそのへんにいる大学生と見た目は変わらないですからね。逆にいうと怖いですよ。タタキとか出し子の仕切りをやっているような反グレが、普通の好青年に見えるわけですから。一般人は『不良だから近づかないでおこう』という判断ができないと思う」(オサム)

“特殊ナンバー”の魅力を熱く語る10代の二人

車 国産セダンは今も憧れ

 珍しく世代間格差が見られない結果となったのが車の趣味。レクサス、セルシオ、センチュリー、クラウン、シーマ、セドリック……好きな車として高級国産セダンの名前が挙がるたびに「そう、そう」と頷く出席者たち。異論はほぼないようだ。  ただし現役世代の仲間内では、まったく別の角度から羨望の的になるポイントが車に関してはあるという。 「“8008”や“1001”といった左右対称のナンバープレートは“ミラーナンバー”あるいは“挟み”と呼ばれるんです。今は車の種類よりも数字のほうがアツいかもですね」(ユウキ)  独自の進化形態を見せるヤンキーの美意識。我々にはまったく理解できないが、そのこだわりは徹底されている。
次のページ
ヤンキーは総じてギャル系が好き
1
2
3
出版社勤務を経て、フリーのライター/編集者に。エンタメ誌、週刊誌、女性誌、各種Web媒体などで執筆をおこなう。芸能を中心に、貧困や社会問題などの取材も得意としている。著書に『韓流エンタメ日本侵攻戦略』(扶桑社新書)、『アイドルに捧げた青春 アップアップガールズ(仮)の真実』(竹書房)。

記事一覧へ
おすすめ記事
ハッシュタグ