『恋つづ』『トップナイフ』医療ドラマが乱立する理由…1月クールは6本も
現在放送中の1月クール連続ドラマで過去に例を見ない異例の事態が起きていた。なんと、NHK含むキー局のドラマ17本のうち、実に6本もの作品が“医療ドラマ”なのだ。確かに『ドクターX ~外科医・大門未知子~』や『救命病棟24時』、『白い巨塔』など過去の医療ドラマにヒット作は多いが、ここまで同じクールで乱立することも珍しい。
それでは、今クールの6作を挙げていこう。
小泉孝太郎主演の『病院の治しかた~ドクター有原の挑戦~』(テレビ東京系、月曜午後10時~)、上白石萌音主演の『恋はつづくよどこまでも』(TBS系、火曜午後10時~)、松下菜緒主演の『アライブ がん専門医のカルテ』(フジテレビ系、木曜午後10時~)、伊藤英明主演の『病室で念仏を唱えないでください』(TBS系、金曜10時~)、柄本佑主演の『心の傷を癒すということ』(NHK、土曜午後9時~)、天海祐希主演の『トップナイフ -天才脳外科医の条件-』(日本テレビ系、土曜午後10時~)で、それぞれ本格医療モノからビジネスモノ、恋愛モノなどでストーリーの軸こそ違うものの、病院を舞台にしたドラマがほぼ毎日放送されているということになる。
一体なぜここまで医療ドラマが増えたのか? さらに、その内容やクオリティはいかがなモノなのかをテレビ業界関係者たちに本音で答えてもらった。
まずは、かつてキー局でヒットドラマを手掛け、現在はコンテンツ部で働くA氏に、乱立している理由を聞いた。
「やはり、視聴率の増減を担っている男女中高年層のウケがよいからですね。彼らが見るか見ないかで3~5%以上は数字が変わってくる。刑事モノや法廷モノもその一つですが、とりわけ医療モノは“大ヒットはなくても外さない”というのがセオリーになっています。どの局も年始一発目で幸先よく10%台の作品を作っておきたいという狙いがあり、この結果(6作放送)になってしまったのだと思います。その結果として、4月クールに『半沢直樹』の第2弾が控えていることもあって予算を抑えたはずの『テセウスの船』(TBS系、日曜午後9時~)が目立ち、好調をキープしているのは皮肉ですよね」
A氏に6作品のうち、面白いと思う作品を挙げてもらった。
また、長年キー局で活躍し、昨年よりフリーでドラマのディレクターをするB氏にも聞いてみた。
「僕個人としてはそこまで危惧する問題でもないかと思っています。海外ドラマでも医療モノが異常に増えた時期がありましたし、今でも人気コンテンツの一つです。医療モノは1話の中で起承転結が付けやすく、感動シーンも作りやすいので連ドラとしては理想だと思います」
「仮に恋愛ドラマをやっても、今は若者たち自体の“恋愛離れ”が進行しているし、自然体な恋愛を見ることができるリアリティーショーを見た方がよいという声も多い。制作陣や脚本家がもっと本気になって、新しいドラマの表現や見せ方を見つけないと、医療モノと刑事モノだけになるのは仕方ないのかなと思う」
中高年層を狙った“外さない”ドラマ作りが裏目に……
「『トップナイフ-天才脳外科医の条件-』はもっと評価されてもよい作品だと思います。いわゆる天才医師のドラマということで『ドクターX』を彷彿とさせてしまいますが、それぞれの医師たちの葛藤や人間ドラマをうまく扱っている。『コード・ブルー-ドクターヘリ緊急救命-』(フジテレビ系)を手掛けた林宏司さんの脚本の妙が光る作品ですね。凝りすぎているゆえ、手術シーンがリアルすぎるので土曜ドラマの空気感に合わないのかなとは思いますが……」
若者の恋愛離れとリアリティーショーの影響も?
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テレビドラマとお笑い、野球をこよなく愛するアラサーライター。
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