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火山写真家「もしも富士山が噴火したら」

本誌2月28日号「富士山噴火対策は鹿児島に学べ」特集に掲載した「”火山雷”(※)が光る桜島」の写真を覚えているだろうか?(※注:火山が噴き上げる水蒸気、火山灰、火山岩などの摩擦電気により生じる雷。火山という近づきにくい環境で発生するため撮影や観測は極めて難しい)

残念ながら誌面ではモノクロだったが、元の画像はカラー写真。せっかくなので、ド迫力のカラー画像を日刊SPAのほうで皆さんにお見せしようと思う。

桜島火山雷

これが桜島の火山雷!(C)宮武健仁

 ドーン!

 この凄まじくも美しい桜島の写真を撮影したのは徳島県在住のカメラマン、宮武健仁氏。火山や噴火に魅せられ、長年各地の火山を追っていると同時に、さまざまな自然の景色を撮影しており、その作品は「ナショナルジオグラフィック」などにも掲載されている。そんな宮武氏に、インタビューを試みた。

――火山を撮るようになったきっかけは何でしょうか?


ボクが育った四国には活火山がないんです。そんな環境で育ったボクが初めて火山を見たのは中学生の修学旅行で訪れた阿蘇山でした。それ以来、火山が造り出す独特の地形の美しさに魅せられてしまったんです。学生の頃も富士山が見えると、うれしかったですね。

――誌面に掲載されたような「火山雷」を初めて見たのはいつでしょうか?

 2009年12月16日の23時54分のことでした。

――ご自身のブログでも、あの画像を撮影されたときは「親指大の噴石が体にぶつかったり、噴火10分後には降灰で目の前が見えないほど暗くなったりした」というだけあって、いろいろ危険もあるし大変そうですね……。

 それも大変ですが、噴火自体が1日に数度あるときもあれば、1週間噴火しないこともある。カメラセットから数分後に撮影できることもあれば、まったく撮れないときもあるのが大変ですね。

 撮影は火口が正面に見える見通しの良い場所で、火口から3kmほど離れている場所で行います。最初は噴火も音でわかるかと思いましたが、3km離れたところでは音が聞こえるのは10秒後なので、ひたすら望遠レンズを構え火口とにらめっこしていないとシャッターチャンスを逃してしまう。シャッターから指を離せないので、コンビニのおにぎりが食べれず、ペットボトルも開けれません。そんな状態の中、夕方から三脚の後ろに仁王立ちしたまま朝を迎える毎日でした。

 そんな感じですから、一晩に1度見れたらラッキーぐらいに思ってます。なにしろ自然相手のものですから。

遠景からの火山雷ショット

遠景から火山雷をおさえたショット(c)宮武健仁

――今までで印象に残った噴火はいつのものでしょうか?

 2010年2月の噴火は5分ほどにわたり次々に連続的に噴き上げ、色も明るいオレンジ色でした。普段より温度が高めだったのでしょうね。

――噴火を間近で撮影されているカメラマンとして、「もし富士山が噴火したらどういうことに注意したらいいか?」と聞かれたらなんとお答えになりますか?

 ここのところの群発地震で、富士山が噴くとこの世が終わってしまうような感じの人を良くみかけますが、ここはちょっと鹿児島の人に習って冷静に落ち着くことが大切でしょう。火山灰は大変ですが、火山灰で直接的に人は死にません、火山弾もそんなに遠くには飛ばないし、火砕流もマグマの粘土の低い富士山では可能性が低いと言われています。このように、科学的にとらえてパニックにならないことが大事です。

 地震と異なり大規模な噴火を起こす時は、はっきりとした前兆があるはずです。だから、心配しながら暮らすより、せっかく美しい火山国、日本にうまれたのですし、火山が造り出した美しい風景の中で暮らせる幸せを味わった方が、ポジティブで良いと思います。

宮武氏ポートレート【宮武健仁】
みやたけたけひと ’66年大阪生まれ。徳島県在住。「美しい国・日本」の原風景をテーマに、そこに有る生命の根源ともいえる「水」と「火」が作り出す岩や独特の景観を表現すべく、スタジオ経営と同時に撮影活動を行う。その作品は「ナショナルジオグラフィック」などにも掲載され、内外から高い評価を得ている
<取材・文/週刊SPA!編集部>




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