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コロナ自粛ムードで日本から消えたイベント…経済損失は数十億円

イベントのキャンセルは1件1000万円の赤字

 人もカネも集まる日本の2大プロスポーツですらこのありさまでは、他の業界ではなおさら苦しい。あらゆるイベントがコロナ騒動の煽りを受けて中止。主催者や選手、出演者の心中は察するに余りあるが、興行を支える裏方のダメージも深刻だ。 「ホテルを借りて行う大規模な会議やコンベンションをキャンセルすると、一件で約1000万円近い赤字になります。最近は『こういうご時世なので……』とキャンセル料を免除してもらえることもありますが、冊子やポスターなどいろんな人の思いが詰まったグッズが無駄になるのは本当にツラい」(イベント会社スタッフ)  また、2月末に無観客で開催されたTGC(東京ガールズコレクション)など、大規模会場での案件に多数携わっているスペースライズ社の野村倫太郎氏によれば、コロナによる同社の累積損害額はすでに1500万円まで膨れ上がっているという。
ショービズ界の阿鼻叫喚

無観客で行われた東京ガールズコレクション。その模様はライブ配信され、ファンからは好評だった

「2月末に国が正式に自粛を要請した頃からキャンセルの数は加速しています。感染症を理由にしたキャンセルだと損害保険が下りないので、これまで準備してきたコストがすべて負債に変わっている状況です。感染拡大防止のために政府の自粛要請は意味があると理解していますが、現場で働くスタッフの仕事が奪われていることも知ってほしい」  興行の今後については、しばらく状況は好転しないとの見方がイベント業界の共通認識。それを受け入れたうえでビジネスを再構築するのが課題だと野村氏は語る。 「スポーツの無観客試合はネガティブなイメージで報道されているかもしれないが、TGCの無観客はポジティブに受け止められた印象。ネットで見られる、参加できるという方向に今後のイベントは変わっていくかもしれません」

無観客を逆手に取ってライブを成功させる!?

 実際、この見立てに沿った形ですでに成功を収めたケースもある。インターネットで主に活躍するエンターテインメントグループ・M.S.S Projectは、2月7日から始まった6都市12公演のツアーのうち5公演と、さらに予定していた横浜スタジアムでのグランドファイナル公演の中止を決めた。代わりに3月4日にZeppDiverCityでの無観客でのライブ生配信を敢行。すると彼らの志を意気に感じたファンは、YouTubeの投げ銭機能を使って応援し、総額1億2000万円を積み上げたのだ。M.S.S Projectのメンバーは本誌の取材に対し、こんなメッセージを寄せてくれた。 「コロナでたくさんの人たちが不安を抱えている状況下で、僕たちに何ができるか考えたとき、もともと僕たちはインターネットでの活動も多いですし、ネットを使った無観客ライブ開催でみんなを勇気づけられたらと思ったんです」  ライブ中の同時視聴者は7万人を超え、飛び交う温かい応援コメントに感激したと彼らは言う。 「無観客ライブは、お客さんの直接のレスポンスがないことに違和感を覚えるバンドマンも多いでしょう。でも、あの日のライブでは、目の前にお客さんはいなくても、ネットを通じて視聴しているみんなとの一体感がありました」  客の気持ちをいかに演者と繫ぐかが、ショービズ業界の今後を分けることになりそうだ。
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