奥へと進むと、工場はさまざまな姿を見せてくれる。大小の配管が頭上を横断し、直径10mはあろうかという巨大なタンクや、斜めに走っていくパイプ。ジブリ作品が描くポンプ室のようなプリミティブな工業感は、工場萌えを感じたことのなかった筆者でさえもカッコいいと思える。 　あちこちをよく見渡すと、はじめから全ての施設が計画されて作られたものではなく、必要となった施設が少しづつ作り足されていったのがわかる。機器の新しさや造作が部分によって違うのだ。 　さらに、どこか非現実的で非日常的な一帯に身を置くと、圧倒的な実存感があるにもかかわらず、どことなくSF映画「ブレードランナー」の世界観の中にいるような気分にもなってくる。などと、どう形容しても目の前の景色に筆者はひたすら「カッコいい」と漏らすばかりだった。 　駅前にあるためにアクセスもよく、都心からも楽に日帰りできる非日常。これまで工場や廃墟に興味を持たなかった人でも、きっと何かを感じることのできるスポットだ。＜取材・文・写真／Mr.tsubaking＞Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大！天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。