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新型コロナの休校措置に臨時の学び場を開設、スタッフたちの思い

臨時預かり所開設「学生達の学びの場になる」

 産業能率大学(神奈川県伊勢原市)情報マネジメント学部の松岡俊教授のゼミ生らは、平塚駅前商店街にあるコミュニティースペース「まちなかベース きちきち」で3月25日まで臨時預かり所を開設する。 預り所
預かり所

「まちなかベース」に設けられた預かり所

 臨時休校措置を受け、低学年の子を持つ保護者たちが抱える問題を少しでも軽減することはできないか――と活動を始めた。松岡教授は「有事の際には共働きやシングルマザーの家庭がさらに困難を極める。はっきりとした答えがない中で、学生達と一緒に課題解決に取り組むのはリアリティーのある学びにつながる」と考え、ゼミ生らと共に小学校低学年を中心に児童を受け入れている。料金は無料で、定員は7人。
松岡教授(左)とサポートした水嶋さん

ゼミ生と一緒に預かり所を開設した松岡教授(左)とサポートした水嶋さん

 活動に賛同し、支援してくれる人も出てきた。絵本作家による読み聞かせボランティアや近くのフランス料理店が毎日お菓子を提供してくれるようになった。松岡教授は地域のサポートに感謝し「(臨時預かり所は)ほとんど宣伝せず、口コミで始まった活動。本当に困っている保護者たちへどこまで波及できるか、じっくり見ていきたい」と試行錯誤しながら活動を続けていくつもりだ。

参加学生「こういう時に行動するのが大事」

学生たち 参加する学生たちの中でも意識が変わってきた。2年生の榊原左恵さん(20)は「危ないからおとなしくしといた方が良いとの声もあるけど、(預かり所は)先生らしい提案だなと思いました」と振り返る。  子どもたちが退屈しないように気を配り、しりとりをしたり、絵本を読んだり。接する際には、どうしたら打ち解けられるだろうかと考えるようになった。相手によってコミュニケーションの取り方を変える方法を学んでいる。実家で自営業を営む父からは、地元の老舗ホテルが新型コロナウイルスの影響で予約キャンセルが相次ぎ破綻したとの連絡も受けた。先行きが見通せない現状を憂い「自粛がいつまで続くのか……。早く終息してほしい」と願った。 学生たち 2年生の元木龍汰さん(20)は、筆者の来訪時に参加2回目ということもり、慣れた様子で子どもたちと接していた。「一緒に絵を描くと喜んでくれて、距離感を縮めるのに役立っています」と得意げな様子。「こんな時だからこそ若い力が率先的に行動するのは大事。ボランティアとして力になりたい」と意気込む。今回の経験が、いつの日か自分の将来に役立つだろうと信じている。<取材・文・撮影/カイロ連>
新聞記者兼ライター。スター・ウォーズのキャラクターと、冬の必需品「ホッカイロ」をこよなく愛すことから命名。「今」話題になっていることを自分なりに深掘りします。裁判、LGBTや在日コリアンといったマイノリティ、貧困問題などに関心あります。Twitter:@hokkairo_ren
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