仕事

残業の多い社員はリスクと見なされる…新たな時代の稼ぎ方とは?

 新型肺炎騒動によってリモートワークが注目されるなど、思わぬ要因で加速する「働き方改革」。しかし、賃金が上がらないのに、この4月から介護保険料が大幅に値上げされたなど、労働者の懐事情は日々過酷さを増している。しかし、給料が上がらない“時代”に甘んじることなく、自ら道を切り開く猛者はいる。新しい時代の“稼ぎ方改革”とは? 残業

本業でブランディングして副業でマネタイズする時代

 産業医として、あらゆる業界のサラリーマンや経営陣と日々接する大室正志氏。その目に映るのは、従来型の労使関係が今、音を立てて崩れているさまだ。 「これまで日本の企業は『終身雇用する代わりに、身を粉にして会社に貢献しなさい』というマインドで回っていました。長時間残業は美徳とされ、社員の忠誠心を会社に費やした時間で測るような風潮もあったように思います。  ところが、ここへきて経営陣の意識がガラリと変わりました。『たくさん残業させるのはまずい』という意識が浸透し、今では経営陣のほうが残業時間にナーバスになってる企業が本当に多い。残業の多い社員はリスクと見なされるようになった。その結果、一般的なサラリーマンの拘束時間は以前と比べ、だいぶ減っているのでは」
[稼ぎ方改革]のススメ

大室正志氏

 働き方改革で労働環境がホワイト化したようにも聞こえるが、さにあらず。終身雇用という前提が崩れつつあるからこそ起きている現象と見るのが妥当だろう。 「このご時世、20年後も存続できると明言できる企業はそう多くはありません。経営者からすれば『会社に頼られても困る』というのが本音でしょう。昨今、副業を解禁する機運が広まってますが、『縛りを緩くするから、食い扶持を自分でも探してほしい』と受け取るのが自然。フランスのある航空会社は人事面談で必ず『副業は見つかった?』と質問するそうですが、日本も同じ流れになると思います」

身につけるべきは専門性。既得権益の民主化も

 1社から稼ぐモデルは終焉を迎えた。これからは「いかに給与以外の収入を得るか」が生涯賃金を増やす手段になってくる。 「とはいえ、空き時間にアルバイトを詰め込むような副業のスタイルでは行き詰まります。そうではなく、本業で培った専門性のあるスキルを高く買ってもらえる場所で活躍するのがいい。スポットコンサルがよい例で、週1回2時間の会議に出席し、意見を言うだけで20万円もらえたりする。  これって昔で言えば経団連の重鎮や高級官僚が天下り先で受けるような待遇なんですけど、今ならサラリーマンでもちょっとデキる人には普通にある話。『大勢のエンジニアを率いてプロジェクトを推進できる』『医療法人のPR施策を提言できる』くらいの経歴が高く買われたりしますからね。これは、副業のマッチングサービスの登場によるところも大きくて、既得権益が民主化されているとも言えます」  そうなると、逆説的だが本業で成果を上げることが豊かな副業キャリアの形成に役立つ、となる。 「これからは本業でブランディングして副業でマネタイズするのが当たり前になってくる。なので、たとえ勤務先の給料がよくなくても、ほかで高く売れるような業務内容ならそれは是なんです。本業で得られる経験や知見にこそ、目を向けるべき。スキルをシェアしながら稼ぐ時代はもう来ています」  終身雇用が崩壊しても稼ぎ切るには、本業を利用するしたたかさこそ必要なのかもしれない。 【産業医・大室正志氏】 大室産業医事務所代表。健康リスク低減に従事し、現在、30社を超える企業で産業医を務める。著書に『産業医が見る過労自殺企業の内側』など <取材・文/週刊SPA!編集部>
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