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不倫叩き、不謹慎狩り…他人を許せない“正義中毒”を、中野信子氏が斬る

ネットで知的偏食を防ぐには

 個人の嗜好や考え方は「どんなキーワードを検索したか」「どんなニュースをクリックしたか」によって、かなりの確度で把握されており、そのデータはターゲティング広告の素材としても使われている。個々に好みやすい情報ばかりが表示されるため、仮想的な閉鎖環境にいるのと同様の状態に置かれたようになって、自分の嗜好とは異なる意見や情報に接する機会が減ってしまい、他者への共感や理解がますますしにくくなってしまうのだ。 ネガティブポジティブ  そんなときは、あえて興味も関心もないキーワードを検索してみたり、普段は見ないようなニュースや記事を積極的に閲覧してみることをおすすめしたい。自分の属性とは離れた人の考え方、悩み、関心事などを検索することで、ネット企業のおすすめとは全く関係ない情報にあえて触れていくわけである。これによって知的偏食も防ぐことができ、場合によっては思わぬ新しい世界や知識を得られ、有益な思考パターンが学習できることもあるだろう。  脳に備わっている「正義中毒」という仕組みは、ネットの普及とネットへの依存により、さらに顕在化してきている。しかし、ネットは結局ツールに過ぎない。知的偏食を一層加速させ、「正義中毒」に溺れてしまうのか、その予防に使うのか、閲覧者の意識のありよう次第で変わってくると言えるだろう。 【中野信子氏 プロフィール】 東京大学工学部卒、同大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。2008年、フランス国立研究所にて博士研究員として勤務。2010年に帰国後は、執筆・テレビ出演などで活躍、著書多数。近著は『毒親: 毒親育ちのあなたと毒親になりたくないあなたへ』『人は、なぜ他人を許せないのか?』など <文/日刊SPA!取材班>
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