更新日:2023年05月24日 15:15
エンタメ

SKE48に咲く6年目の“桜”、末永桜花。花咲かすための地道な道のり

 そして今年1月25日、TDCホール(東京・水道橋)で彼女は単独コンサートを行うまでに成長した。超満員とはならなかったが、およそ1500人のファンが集結。しかし、土曜日の午前10時開演、本拠地は愛知県、東京在住のグループでも1000人を集めるのに苦労するアイドルグループが多いことを鑑みれば、個人で十分すぎる成果だと思える。  このコンサートでも彼女は個性を発揮。鉄道好きという最近強化されてきた武器を使い、鉄道コーナーを実施したのだ。 『ある一日の少女の儚い夢』と題したミニ・ムービーが会場に流れる。これストーリーも秀逸で、小湊鐵道の里見駅で何やら愛しのきいくんという”男の子”を待つ様な末永の姿が映し出される。そして、電車が到着。きいくんが来たのかと思いきや、なんときいくんは、キハ200系気動車で彼女は撮り鉄だったというオチなのだ。このヲタ丸出しの展開に会場は笑いに包まれた。  さらに同コーナーでは「鉄道唱歌」「ホームタウン急行」を熱唱。そんなに電車は詳しくないと言うが間奏では、好きな電車についてJR西日本の500系新幹線電車をあげ「新幹線のビジュアルメン」と評したり、京阪電気鉄道の8000系電車をあげ「パンタグラフが下枠交差型になっておりまして~」とその後、知識のない人にはまったくわからない話を熱くトークし、会場をどよめかせた。これでも止まらない彼女、8000系のプレミアムカーやダブルデッカー車(二階建て)に乗りたいと話し、コンサート後に即乗ってツイートを公開してみせた。  素人目に見れば十分マニアックなそのトーク内容に彼女の底知れなさを感じさせられたコンサートだった。ちなみにアンコールでは山手線一周を暗唱。次はぜひ地元名古屋の名城線一周からの名港線名古屋港駅までをトライしてもらいたい。  そんなコンサートには、彼女の人柄がにじみ出る要素がまだ散りばめられていた。それは4月2日卒業予定だった(新型コロナの影響で、卒業公演ができないため、時期は延期に)片岡成美をサプライズで出演させたことだ。

連載時のふたり

 実はかつて連載で共演した際に「仲良くなりすぎて他の同期に嫉妬されちゃうくらい(笑)」と話していたほどの盟友だ。  そんな片岡と『微笑みのポジティブシンキング』という明るい曲を披露。末永は壇上で「2人で前向きにこれからも頑張って行こうねという思いを込めて選びました」と思いを明かしている。  クールな印象があり、さもすると敬愛する卒業生・柴田阿弥の様に”ぼっち”属性が強いのかと思いきや彼女のメンバー思いのエピソードは割と多く、卒業した後輩の白雪希明は末永の生誕祭でアンダーデビューした際、「わざわざ私を気にかけたコメントをしてくれたり、前日にメッセージをくれたり」と感動した舞台裏を教えてくれていた。  また、末永は料理やお菓子を作るのが得意で、胃袋を掴まれるパターンも。同じチームの熊崎晴香はかつて「おーちゃん(末永のニックネーム)手作りのカップケーキをもらって。デコレーションもきれいだし、すっごいおいしいんです」と教えてくれた。  SKE愛も深く、仲間思い。ガンダム好き、鉄道好き、料理も得意と複数の武器を持っている。こう見ると向かうところ敵なしなのかなとも思うが、本人におごりはない。 「ナチュラルに好きなだけなんです。好きじゃないものを無理して発信しても続かない。自分自身が楽しめる方法でやってるだけなんです。7期はキラキラしたコが多くて、そのコたちみたいに私はなれないと思って、どうやったらSKEで上に行けるんだろうとは考えてました。だけど見てくれてる人はきっといるから諦めずに努力するのが大事だなって思います。あとは自分が楽しむことが大事かなって」  純粋に前向きに活動を楽しむ。それはなかなかできそうでできることではない。そんな彼女が好きな言葉に掲げているものに“運鈍根”というのがある。ものごとを成功させるには運と、鈍いくらいの辛抱強さと、根気強さとが必要だという意味の言葉だ。  辛抱強く根気強く5年間を駆け抜けた彼女。今の位置は決して運で手に入れたものではないだろう。6年目を迎える桜がどんな満開の花を今後見せてくれるのか。楽しみで仕方がない。 取材・文/八木康晴 撮影/山川修一 連載写真/青山裕企
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