AV男優しみけんが語る仕事論「プロの正常位は肩が動かない」
AV男優はベンガルトラより少ない――そんな衝撃的な書き出しで始まるのは、これまで1万本以上のAVに出演してきたAV男優のしみけん氏が上梓した新刊『AV男優しみけん仕事論0.01 極薄!』。タイトルにある「0.01」とは、しみけん氏が仕事、人生訓としている「100人中99人の人がやらないことをやったら1パーセントの人間になれる」からきたもの。そんなしみけん氏がAV業界から培った仕事論、そして業界の裏事情とは? 本人を直撃してきた。
――AV男優はベンガルトラより少ない、これは今に始まったことなのでしょうか?
しみけん:今も昔も変わらず70人くらいですね。5年前に出版した『光輝くクズでありたい』では少なすぎると思い「もっと若い男優が増えて欲しい」と警鐘を鳴らしてきました。この5年間、若い男優が増えた一方で古参の男優がいなくなったりして、結局「70人」というパイは変わらず。ってことはつまり、AV業界的にちょうどいい人数ってことなんですよ。男優が増えすぎたら仕事が減る男優も増える。そうすると、ちんこの勃ちも悪くなると思うんですよ。馬車馬のように働かされてるから、ちんこが機能して発射もスムーズにいくんです。
――70人というのは、いわゆる「汁男優」や「エキストラ」を含まない人数ですよね。
しみけん:はい。1発あたりのギャラによってヒエラルキーができていて、ギャラが1発5万円以上の「トップ男優」が10人、ギャラが1発3万円以上の「印紙男優」が30人、ギャラが1発2万円前後の「男優」が30人、という分布です。トップ男優となると、月収は約100万~180万円。なかには200万円を超える猛者もいます。トップ男優のスキルとしては、「単体女優のデビュー作の相手として絡みを任せることができる」「乱交のときに指揮が取れる」などが条件としてあげられますね。
――乱交モノの指揮が取れるとは?
しみけん:「よーいスタート」でカメラ回ったら、現場の流れを作るのは一番スキルのある男優なんです。例えば、ぼーっとしてる汁男優がいるとすると、出し待ちすることになったり、ぶっかけのタイミングが合わずにいい画が撮れなかったりする。そんな時は近づいて「おい、よーく見てみろよ、ぶっかけてーだろ」とか鼓舞するんです。それでワーッと仲間意識が生まれることで、織田の鉄砲隊みたいに代わる代わる発射することができます。女優さんだけSEXで気持ちよくさせればいいってのは3万円までの「印紙男優」の考え方で、絡みだけでなく、現場全員を気持ちよくさせるのがトップ男優の仕事。そこらへんのスキルは漫画の『キングダム』と一緒だと思いました。
――AV男優といえば精力絶倫で体力があればいいってイメージなので、そうやってロジカルに考えられてたことが不思議です。
しみけん:「ぶっかけ」とか「勃ち」とか…使ってる言葉はおかしいですけどね。国際会議では絶対に出てこない単語なので(笑)。ただ、最近の若い男優さんは、そうした現場でどう立ち回るべきか? を考える真面目な人が増えてきた印象です。体調管理や生き方も含めて、AV男優という「職業」に向き合ってるというか。僕が22年前に現場に入った時は、メチャクチャでしたから。裸で現場にきた人がいて「何で裸なんですか?」って聞いたら、「朝、気づいたら歌舞伎町のゴミ捨て場にいて、服もないしそのまま来たんだわ」って(笑)。
――いろいろな規制や倫理が生まれるなかで、業界全体が健全化されてきたってことでしょうか。
しみけん:昔はエロってアウトローの道に行かないと取り扱えない商売だったのが、今はそんなことありませんからね。メーカーさんが新卒採用するのも当たり前ですし、男優を志望する人にとっても敷居が低くなっていることは事実ですね。もちろん、SEXすることが商売の肝ですから、SEXや性に対して、強い好奇心や探究心、行動力が必要なのは大前提です。
――規制が緩かった時代のほうが自由で良かった、って気持ちはありますか?
しみけん:『全裸監督』も観ましたが、確かに昔のはちゃめちゃぶりは楽しかったと思います。ただ、規制が多い最近の現場について否定的ではないんです。そもそもそういう時代ですし、規制を乗り越えてどんな面白いアイデアが生まれるかってことのほうが興味あります。強要問題が起こって、凌辱シーンがなくなった今、例えば、裸で寝っ転がった男がスマホを女性に見せて「お前、ここで俺といる写真をバラされたくなかったら俺の上に乗っかれ」とか。ばからしいとは思うけど、時代時代のルールに沿ってやるって、そういうことですからね。
多人数の現場の指揮は『キングダム』と同じ
1
2
『【Amazon.co.jp 限定】AV男優しみけん仕事論0.01 極薄! (特典:書きおろし特別章データ配信)』 AV出演本数1万本超、もはや「しみけん」といえば「AV男優」の代名詞である。 高校生の頃にAV男優を志すものの、なぜか飛び込んだのはゲイ業界。その後、「君、うんこ食える」?という1本の電話をきっかけにAV男優となってから22年。いまや押しも押されぬトップ男優がディープにAV業界を解説する。 |
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ