炎上アイドルユニットの運営がコロナで悲鳴「電気代すら払えない」
「アイドル運営をしています。新型コロナウィルスによる自粛要請を受け、活動を休止し続けた結果、資金繰りがうまくいかず、電気代すら払えずにいたんですが、ついに電気が止まりました」
Twitter上に投稿されたこちらのつぶやき。ツイート主は「THE BANANA MONKEYS」(通称“バナモン”)というアイドルユニットを運営するサンカワリクさん(@riku_sankawa)だ。
“釣り”だったということは、実際はそこまでコロナの影響は受けていないということだろうか。
「うちのバナモンというユニットはスタンスとして『この時代にいい意味で自由で縛りがない』。炎上することも多々ありましたが、誰かに迷惑をかけたり、あげ足を取るようなことはしていません。最初はコロナさえも逆手に取るというか……我々には関係ないと思って、そのまま活動していました」
当初は“対岸の火事”と捉えていたそうだ。しかし、次第に状況が変わっていく。
「3月22日までは大丈夫でした。ところが、3月28日と29日にライブがあったんですが週末の外出自粛の要請が出て、初めて会場側からNGが出ました。
本来は3マン(3つのユニットが出演する)予定でしたが、うち以外のユニットはキャンセルでした。それで小さい場所に変更してやったんですが、お客さんもあんまりこなかったんです。いくらライブが出来てもお客さんがこない状況だったら意味ないな、と。これが大きいライブハウスでギリギリのバラシ(キャンセル)だったら本当にキツかったと思います」
本来なら対バン相手が直前でキャンセルすることはご法度とのことだが、「やはり状況的にも仕方がない部分はありますし、あちらの心中もお察ししますから……」と話す。
「うちのユニット内でもだんだん怖がるメンバーが出てきたんです。親御さんが心配していたり、実家暮らしでご年配の家族がいたりすると、リスクが高いですもんね。『家族にはうつしたくない』って。当然ですよね」
とはいえ、バナモンのウリは“自由で縛りがない”スタンスのユニットだった。目の前に突きつけられた現実に、葛藤も大きかったという。
「それが個性だったのでスタンスが問われているな、と。自由にやりたいことをやっていたら、結果として『空気が読めない』ことがウリのひとつになっていた部分もあります。ですが、もはやスタンスどうこうの問題ではなくなっている。
ライブハウスは営業中止。無理やり借りてイベントを開催したところで、お客さんはこないでしょう。いくら自由で縛りがなく、空気が読めないと言ったって、命に関わる問題なので、それを押し通してまでやる意味なんてないんです」
今、バナモンだけではなく、多くのアイドルが活動できなくなっている。だが、サンカワさんはこの状況を客観的に捉え、「良い意味で転換期になる」という。
「今までの地下アイドルって結局は“チェキビジネス”なんです。お客さんが1000円で1枚のチェキを買って、こちらは1分の時間を与えるという。これがこのコロナの影響で根底からひっくり返されるんじゃないかなって。地下アイドル文化が変わるキッカケであり、その瞬間なんだと思います。
コロナによって簡単に稼げた地下アイドル業界が稼げなくなった。単純にお金儲けだけをしたい大人たちが消えていく転換期になると思いますね。絶対にアイデアで乗り越えられる。アイデアを振り絞った人間だけが残っていくんだろうと」
バナモンは猿を彷彿させるパフォーマンスで会場を魅了してきた。ファンを「飼育員」と呼び、これまではライブ後の物販で飼育員が「エサやり」に大挙する光景が恒例だった。しかし、エサがもらえなければ当然、猿の生活は困窮する。
具体的にはどんなアイデアを考えているのだろうか。
「それが……まだないんですよね。でも絶対に思いつくものだと信じて模索し続けています。プロインタビュアーの吉田豪さんが3.11のときに、今ほど知名度のなかったももクロ(ももいろクローバーZ)さんが動画共有サービスのユーストリームで配信し続けていたのが良かったみたいな記事を読みました。だから、そういうバナモンの起爆剤となる何かを見つけたいと思っています」
新型コロナウイルス感染拡大防止のために、政府や自治体が外出自粛を呼びかけ、“三密”(「密閉」「密集」「密接」)を避けるよう繰り返されている。そんななかライブハウスをはじめ、イベント会場などは営業中止を余儀なくされた。 当然、ほとんどのアイドルが活動の場を失ってしまったのだ。裏を返せば、運営側も収入源が絶たれてしまったことになる。そこで、サンカワさんに現在の窮状について直撃してみたところ……。 「……スイマセン! ぶっちゃけ、あの投稿に関してはやや“釣り”だったんです。バズるかなぁ~と思って。ただ、嘘は書いていません」(サンカワさん、以下同) 意外な返答に筆者は呆気にとられた。しっかりと釣られて取材まで申し込んでしまったので、サンカワさんの作戦勝ちと言えるだろう。だが、果たしてその真意とは何だったのだろうか。アイドル運営をしています。新型コロナウイルスによる自粛要請を受け、活動を中止し続けた結果、資金繰りがうまくいかず、電気代すら払えずにいたのですが、ついに電気が止まりました。
— サンカワリク (@riku_sankawa) March 30, 2020
当初は“対岸の火事”だったが…次第に状況が悪化
コロナは地下アイドルの転換期になる
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ライター兼底辺グラドルの二足のわらじ。著書に『最底辺グラドルの胸のうち』(イースト・プレス)、『現役底辺グラドルが暴露する グラビアアイドルのぶっちゃけ話』、『現役グラドルがカラダを張って体験してきました』(ともに彩図社)などがある。趣味は飲酒、箱根駅伝、少女漫画。X(旧Twitter):@sally_y0720
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