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「中国のコロナ対応をほめる決議を」と米議員にメールした、中国当局の失敗

 いまだ猛威をふるう新型コロナウイルス。一方で、ピークを越えつつあるとの見方から、いくつかの国では経済活動再開に向けた動きも出始めている。  なかでも中国はいち早く「新型コロナウイルスを抑え込んだ」(3月10日、習近平国家主席)と宣言。以降、EUやアジア・アフリカ諸国にマスクや検査キットを寄付したり、医療チームを派遣する、いわゆる“マスク外交”を繰り広げている。
中国国旗

画像はイメージです(C)Rafael Ben Ari

中国“マスク外交”でも収まらない、欧米の憤り

 その一方で、パンデミックの責任の所在を問う声は激しさを増している。早くから、“中国ウイルス”と称し、WHOが“あまりにも中国寄りだ”と拠出金を停止したアメリカのトランプ大統領に続き、フランスのマクロン大統領も「中国の発表をばか正直に信じてはいけない」と、4月17日のイギリス・フィナンシャルタイムズ紙のインタビューで、痛烈に批判している。  現在、療養中のジョンソン首相に代わり首相の職務を代行する、イギリスのラーブ外相も、手厳しい。4月16日のG7首脳テレビ会議後、記者団に対して、中国との関係見直しに言及し、新型ウイルスの発生と、なぜ阻止できなかったかについて、「厳しい質問をせざるを得ない」と述べた。  そこへ、オーストラリアのペイン外相も参戦。4月19日のオーストラリア公共放送ABCの番組内で、ウイルス発生当初、「人とモノの動きを制限する理由はない」としたWHOの判断に疑問を投げかけ、「独立した検証」を要求した。  ところが、不思議なことに、日本のテレビはこうした動きをほとんど伝えない。いつものようにまくし立てるトランプ大統領の映像は流しても、理知的なマクロン大統領の憤りは取り上げない。  代わりに、マスク外交に励み“世界から感謝される”中国にクローズアップし、“自国ファースト”を掲げるアメリカのプレゼンス低下を強調する論調がほとんどで、海外メディアとの温度差に驚かされる毎日だ。

「中国政府を称賛する声明を」米議員に届いたトンデモメール

 そこで、改めて考えたい。アフターコロナの世界で、中国は真に尊敬される勝者となり得るのだろうか?   イギリスのフィナンシャルタイムズ電子版に、興味深い記事が掲載されていた。題して、 「Why China is losing the coronavirus narrative」(Jamil Anderlini、中国がコロナ危機の筋書きを誤った理由、4月19日:以下筆者訳)  この中で、アンデルリーニ記者は、アメリカ、ウィスコンシン州の上院議長のエピソードを紹介している。2月26日、ロジャー・ロス議長のもとに、中国政府からあるメールが届いた。そこには、こう記されていたという。 <このたびのコロナ危機に際して、中国政府による対応を称賛する声明を、議会に提案してほしい>  そして決議案の文面まで書かれていた。この文面を見たロス議長は、送信元がhotmailのアカウントだったこともあり、でたらめだと思ったという。<わざわざ州議会にこのような働きかけをする外国政府など、聞いたことがない>からだ。  しかし、3月10日に再度同様のメールが届いたため、改めてアカウントを確認したところ、メールの送り主は、確かにシカゴの中国総領事だというのだ。驚きあきれたロス議長は、 <親愛なる総領事殿、バカったれ(NUTS)>と返信したのだそうだ。
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中国政府の致命的なオウンゴール
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