営業自粛のスナックが生き残りをかけた経営戦略とは?
新型コロナウイルス感染拡大防止のため緊急事態宣言中の今、飲食店を含む夜の店は営業自粛要請で悲鳴を上げている。特にキャバクラやスナックでは給付金の対象内となっているものの、従業員の給料などを考えると到底足りない……というのが現状だろう。
「従業員は私以外に4人いて、その内の1人がレギュラー出勤です。ほとんどの子は昼の仕事と掛け持ちなので、今はお休みしてもらっています。問題はレギュラーの子で、3月までは週5で出勤してもらっていたのですが、今月から休業要請が出てしまったので出勤できない状態に……。出勤させてあげさせたい気持ちはあるのですが、万が一、店で感染させてしまったらと考えると怖いですよね。
休業中の保証金を国が出すとは言っているものの、キャストの1か月分の給料ほどもらえるのかも分からないですし。ただ、唯一ホッとしているのはキャストがみんな実家暮らしということ。レギュラーの子も『家賃の心配はしなくて大丈夫だから』と言ってくれたので、気持ち的には少し救われましたね……」
いくらキャストを休ませたとはいえ、店の家賃やママ自身の生活費もあるだろう。店舗家賃は月15万円、さらに光熱費などはどうしているのだろうか。
「家賃は幸い、ビルのオーナーが気遣ってくれて4月分は1割引きでいいよと言ってくれたんです。家賃内に水道代や電気代も含まれているので、すごく助かりました。
あと、カラオケのレンタル代が毎月7万円かかるんですが、レンタル業者から連絡が来て『こんな状況なので4月分は無料でいいですよ』と言ってくれました。うちのようなスナックもですが、カラオケ屋はもっと苦しい状況だと思います。そんな中で無償対応をしてくれたのは感謝しかないですね」
現在、看板はついておらず店は休業しているようにも見える同店。しかし、ここ最近はスナックではなく形態を少し変えて営業しているとママは話す。
「元々、つきだしとして手作りのお惣菜をお客さんに出していたんです。休業になって家にある店用の食材を料理していたら、常連のお客さんからたまたま連絡があったんですよね。その話をしたところ、『店にご飯を食べに行っていい?』と言われたんです。それをきっかけに、早い時間帯にお客さんから連絡が来たときだけ料理を提供する営業に切り替えたんです。
普段なら周辺の商店街や飲食店が遅くまで開いているんですが、今はどこもランチ営業になって夜になると閉まっちゃうんですよね。一人暮らしのお客さんはコンビニで夕食を買うしかできないそうで、手作りのご飯が食べられるのはありがたいと言ってくれます。遅い時間になると、惣菜をテイクアウトしたいと言ってくるお客さんもいますね」
感染を防ぐために店内の窓は換気、客の入店は時間帯を分けて1日1、2組の限定にしているという。料金はセットと料理おかわり自由で4000円。19時までに入店すれば飲み放題も可能だという。
そんな中、「店の形態を変えて営業している」と語るのは、関西地方のとあるスナック。一体どういうことなのか、ママ(39歳)に話を聞いてみた。
店舗家賃15万円、ママの生活費はどうしてる?
料理を提供する営業に切り替え
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東京都出身。20代を歌舞伎町で過ごす、元キャバ嬢ライター。現在はタイと日本を往復し、夜の街やタイに住む人を取材する海外短期滞在ライターとしても活動中。アジアの日本人キャバクラに潜入就職した著書『底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる』(イーストプレス)が発売中。X(旧Twitter):@ayumikawano
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