仕事

「飲食店の家賃は下げるのが当たり前」コロナ禍の風潮に大家は…?

大家業は「土地のために働く薄利な商売」

 世間では「寝てても不労所得が稼げる」というイメージが強い不動産オーナー業だが、諸星氏は「安定はしているかもしれないが、利益は薄い商売」だと吐露する。 「悪法として名高い『借地借家法』で我々は手足を縛られているうえに、所有しているだけで定期的な修繕費はもちろん、毎年の固定資産税、都市計画税がかかる。さらに死ねば莫大な相続税もかかります。なので、大家の一定数は相続時に先祖の土地を失わないために働いている部分があり、死ぬまで土地のために働かされる商売ですよ。特に借地権のついた貸地なんて年利1%も出ないので、利益を出すより土地を守るのに必死。イケてる飲食店社長のほうが、愛人連れて南の島でサーフィンしたりと羽振りがいいのでは……」  テナントの減賃要請に理解を示す諸星氏だが、「家賃支払いモラトリアム法」策定を求める元国会議員の松田公太氏らの行動にはあまりよい印象を抱かないと明かす。 「少なくとも大手不動産会社の間では、松田氏が率いる運動に参加している飲食店舗は『望ましくないテナント』としてリスト化されるでしょうね。アフターコロナの世界ではオーナー側に警戒されて、店舗が借りにくくなることはあり得ると思います」  気楽な商売だと誤解されがちな大家業。しかし、その苦悩はコロナ禍がたとえ過ぎ去ったとしても、すぐに癒えるものではないようだ。
不動産、マネー、ネットカルチャー分野を得意とするフリーライター。社会事情についても執筆する。著書に『サラリーマンのままで副業1000万円』(WAVE出版)。X(旧Twitter):@yuutaiooya
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